5月1日(月)
アデレード(市内観光)
AdelaideKeswick15:00
THE GHAN
朝食は、少々料金が高くなったようだが、$4(280円)で食べ放題ということなので、食べることにした。パンやフルーツに加えて、自分で卵やハムを調理できる。多くの人はスーパーで仕入れ済みで、別の備え付けのキッチンで調理していた。バックパッカーは、朝食は自分で用意するのが基本である。今日は昨日に引き続き半日アデレード観光。宿の人が、14時にザガンの出発するケズヴィック駅まで送っていってくれると言うことなので、大きな荷物は置いて出発する。確かに、送迎ありますと書いてあった。ますますとほ宿だ。
さて、見所も少ないアデレードであるから、昨日のうちにすっかり見終わってしまった。仕方がないので、博物館に行ってみる。ここはオーストラリアの先住民族であるアボリジニに関するいろいろな展示品や、世界中の動物の剥製が展示されている。が、日本からの動物はなかった。1時間くらいぶらぶらして、次はどこの都市にもあるボタニックガーデン(植物園)。たいしたことなくてそそくさと後にする。だいたい、植物園というものを作らなくても、いたるところに公園があるのだから、それだけで十分のような気がする。
そして、お昼はハンバーガーじゃ仕方がないし、昨日も行った中華街で、皿に盛り放題$5(350円)というのをいただいた。チャーハンや焼きそば、酢豚などいろいろな中から載せ放題。こういうのがはやっているらしく、どこの店でもcombinationというメニューでいろいろなものを試せるようにしている。
腹も膨れたところで時計を見ると、13時をすぎてまぁまぁ良い時間。セントラルマーケットをぶらぶらし、ヴィクトリアスクウェアでさらにのんびりして宿に戻ると、ちょうど14時であった。そして、ケズヴィック駅まで送ってもらう。おじいさんが送迎係となっている模様で、ますますアットホームな宿だなと思った。アリススプリングスで宿を予約していないなら、この宿がいいよ。チャーミングな娘がやってるから、と言われた。そして、行くなら自分のところの宿の宣伝カードを置いてきてよ、と言われ、宣伝カードを何枚か渡される。これでは、行かざるを得ないか・・・。
市街地から車で数分のところにケズヴィック駅はある。そして、その駅はすごい人手になっていた。こんなにすごい人数の客が乗れるのだろうか。そして、列車はホームから大きくはみ出している。先頭の方は機関車と車載車2両、電源車と荷物車2両がはみ出しているだけだから、とりあえず乗るには問題ない。入り口ごとに車掌が待機し、切符のチェックを行っている。そして、駅にはザガンとインディアンパシフィックのグッズが売っていた。
さて、ここでザ・ガンについて説明しよう。中央オーストラリア開拓のためにつれてこられたアフガニスタンのラクダから、最初の列車がアフガン・エクスプレスと呼ばれ、後に略されてザ・ガンとなった、歴史も長い世界的にも有名な豪華列車である。
アデレードからオーストラリアの真ん中のアリススプリングスを週2往復運行され、一方はシドニーまで、一方はメルボルンまで運転されている。座席車コーチクラス、二人用個室寝台ホリデークラス、一人用(ルーメット)と二人用(ツイネット)個室寝台ファーストクラス、さらに二人用デラックスファーストクラスからなっている。ファーストクラスには、専用食堂車での食事料金込みである。なぜか、アデレードからアリススプリングスへ向かう列車よりも、逆方向の列車の方が、料金は安くなっている。
コーチクラスは新幹線のグリーン車並の席であるが、ラウンジなどは使えず、簡単な食事や飲み物が買えるビュッフェがついている。ホリデークラスは、ファーストクラスの一人用個室に上段寝台を取り付けたもので、かなり窮屈感があるが、一人だったらファーストクラスとほとんど変わらないだろう。ただ、一人だと、相席になることもあるらしい。セルフサービスでインスタントコーヒーや紅茶が飲めるラウンジと、カフェが利用できる。
一人用のファーストクラスは、通路を挟んで両側に部屋がある。隙間をうまく使えるように、通路は波打つ形になっており、非常に歩きにくい。が、扉を閉めれば室内は案外広く感じられる。洗面台、トイレは日本の個室でもよくありがちの飛行機と同じコンパクトなパターンで、シャワーは車両端にある。椅子を倒せば、そのまま寝台に早変わり。いまいち、ファーストクラスというよりは、ソロB個室といった感じがする。二人用のファーストクラスは、いわゆるツインデラックスで、比較的狭い感じはしない。そして、謎のデラックスファーストクラスは、1両に2室しかない超豪華二人用個室。その広さは半端でない。まさにスイートなみの広さを持っていた。そして、これらのファーストクラスのラウンジには、コーヒーメーカーで作られたコーヒーが無料で飲めるし、専属のバーテンがいてビールやワインを買うことができる。北斗星のロビーカーがあまり盛り上がりに欠けるのは、日本人がロビーを使う文化があまりないからだけではなく、バーテンがいないのも影響があると思われる。
今日は乗客が多いようで、通常のザガンの車両にインディアンパシフィックの車両を増結。機関車や荷物車なども含めて22両。信じられない長さだ。そして、自分の指定された車両はインディアンパシフィックのもの。部屋の違いは全くなく、ラクダのマークか、鷲のマークかの違いだけである。15時を少しすぎたところでゆっくりとケズヴィック駅を出発した。駅を出てすぐのところは、ポイントが多いので、本当にのんびりした速度で走る。歩くよりは速いと思うが、走っている人には断然負けると思う。そんなのんびりの速度を数分続けた後、やっと本調子では知り始めた。機関車一両でよくこんな長い編成を引っ張れるものだ。
しばらくすると、車掌がザガンのアメニティグッズを配り、室内の説明をしてくれる。個室であるが、鍵はかけられない。最後にモーニングコーヒーをどうするか聞かれる。ブラックで何も付けなくて良いと言ってとりあえず頼んだが、後で冷静に考えると、またべらぼうに早い時間に持ってきそうな気がした。昨年も、朝食を持ってくる時間がとにかく早かったからだ。まぁ、いいか。その後、食堂車の係の人が、食事は先にするか後にするか聞きにきた。ファーストクラスは5両分約80人を一つの食堂車でまかなうので、二回に分けて食べることになる。ファーストシット(first sit)を頼み、19時食事からということになった。
車内を少し探検したり、のんびりした時間を過ごしているうちに陽が傾き初め、あっという間に19時になっている。アデレードの町を離れると、車窓の景色は単調なものとなるが、なぜだかあまり飽きずに時間がたってしまった。
そして、ファーストシットの食事開始のアナウンスで食堂車へ。すでにほぼ満席で、当然のごとく相席になる。一人は日本人の鉄ちゃんと、もう一人はアメリカからアリススプリングスで働いている息子に会いに来たというおばさん。旦那さんがネイビーということで、日本の横須賀や厚木に行ったことがあり、日本についてよく知っていたし、話好きだし、かなり会話が弾んだ。最近は、静かに食事を食べるというのが広まっているが、やはり会話を楽しみながら食べるというものだ。特に外人の人たちは、食べているのかしゃべっているのかわからないくらい、おしゃべりに夢中だ。
食事は決まり切ったコースではなく、アントレにサラダやスープなど、メインはビーフ、チキン、カンガルー、フィレの4種から、デザートも数種から選ぶことができ、なんでも金勘定にはしる日本ではできない芸当だと思った。ただ、北斗星のフランス料理と比べると、さすがに見劣りするが、弁当のようなものでなく、普通のレストランに行ったのと同じような料理であったのは、さすが豪華列車の名が世界に知れ渡っているだけはある。
食事中に、列車は駅に到着した。ずっと漆黒の闇の中を走ってきたが、ちらほら明かりが灯っている。唯一の停車駅であるポートオーガスタだ。この先、アリススプリングスまで大きな町は存在しない。食事後部屋に戻ると、しっかりベッドメーキングされている。と言っても、後ろの背もたれを前に倒すだけである。やはりというか、オーストラリアの夜行列車にはお得意の枕が2個備え付けられていた。
その後、ラウンジに行ってみると、誰もいない。バーテンも暇そうで、ワインを頼むと、ここは誰もいないから、もう一つの車両に行ってみたらと勧められるほど。インディアンパシフィック車のラウンジは、革張りのソファーで豪華さがあるのだが、いまいち落ち着かない。そこで、別のラウンジへ行ってみると、こちらはザガン用のアボリジニアートで飾られた活動的な車両だ。人もたくさんいる。きっちり分煙もされており、喫煙室は完全に仕切られている。一度に、ザガンとインディアンパシフィックを楽しめてしまい、運が良かったのか、今後の楽しみが無くなってしまったのか。
ラウンジでビールやワインをいただいた。最近オーストラリアワインは日本でも注目されているが、さすがにどこで飲んでもうまい。アデレードにはバロッサバレーと呼ばれるワイナリーがたくさん点在するところへツアーで行けなかったことに悔いが残るが、もともとはこのザガンに乗るために来てしまったアデレードだったので、まずまず楽しめた南オーストラリアだったいえよう。そして、ザガンは南オーストラリアを後にし、アボリジニランド(先住民族アボリジニ優先の土地)の多いノーザンテリトリーへと進んでいった。

|