5月1日(土)
Melbourne8:10
9:50Ballarat
バララット(ソブリンヒル, ワイルドライフ&レプタルパーク)
Ballarat16:50
18:32Melbourne20:05
Melbourne XPT
昨日よりもさらに早く、6時半に起床した。朝起きるのがどんどん早くなる。今日は、メルボルン近郊のバララットの町まででかけたのち、夜行列車でシドニーを目指す。コンビニで買った朝食を食べてから、ホテルをチェックアウトし、出発である。
メルボルンスペンサーストリート駅まではものの5分。切符売り場でバララット往復の乗車券を買う。round tripで往復の意味。今日帰ってくるのかと聞くので、そうだと答えると、それなら安くなるよといって切符をくれた。往復もさることながら、週末ということで安いらしい。感熱紙のぺらぺら紙にto/fromの駅名と有効日が書いてあるだけで、それを台紙にホッチキスで留めていた。バララット往復1時間40分で、$19.4(1,600円)。JRとほとんど変わらないくらいに思えた。
次に荷物を預けようと思い、荷物預かり所へ。するとそこは荷物を列車で運ぶ窓口であった。オーストラリアでは、飛行機で荷物を預けるように、ここで切符を提示すると、大きな荷物をその列車で運んでくれるのである。だが、自分は荷物を預けるだけで、列車に荷物を載せるつもりはない。係りの人が、弾丸のような早い英語でしゃべってくるが、何とか列車には載せずに、ここでピックアップしたいと告げると、ここでも預かれるけど、コインロッカーの方が安いという。
コインロッカーがないと思ったからここに来たのに、実はあったようだ。親切にも場所と、トークンを買ってから使うんだよと教えてもらい、地下への階段を降りたところにコインロッカーはあった。近くにトークンの自動販売機もあり、$2(160円)で無事荷物を入れることができた。ちなみに、預かり所に荷物を預けたら$3だった。英語が通じてよかった、としみじみ感じたのだった。
近郊電車はしっかり自動改札があるが、長距離列車は全く改札がない。そのままホームにあがると、三両の客車と機関車があらわれた。線路幅が広軌で幅が広く、座席配列は横5列。こんなローカル線で新幹線と座席配置が同じというのが、ちょっと日本の新幹線にとっては寂しくもあった。
8時がバララット行きの始発列車でもあり、車内はまずまずの混雑ぶり。こんな列車でも、しっかりファーストクラスが連結されているのは、やはりヨーロッパの鉄道文化が根付いている証拠だろうか。列車が走り始めるとすぐさま車内改札で、今は日本では懐かしいものになった、穴開けパンチで切符のチェックをしてゆく。こんなレシート切符でも、ちゃんと穴を空けていった。
メルボルンの街は、少し走るだけで郊外というような風景になり、それもあっという間になくなると、ついにサバンナ状態になっていった。赤茶けた土に、少々の緑。人が住んでそうな雰囲気はまるでなく、北海道でもこんな何もない風景に出会ったことはない。行けども行けども、何もない。インディアンパシフィックに乗ったら、こんな風景が数時間続くのだろうか。変化がなさすぎて、耐えられないかもしれない。線路は単線であるので、列車交換しなければならないが、貨物列車のためだろうか、数Kmにも及ぶ交換施設のため、走りながら列車交換をしている。一瞬、複線かと錯覚してしまう。
そうこうしているうちに、周りの乗客はほとんど途中で降り、車窓に古めかしい街が見えてきた。この街を歩いてみたいなと思っていたのだが、駅名を見て目的地だったことに気づき、急いで列車を降りた。5分早着だったので、もう一つ次の駅かと思っていたのだ。バララットは、100年ほど前、ゴールドラッシュにわいた街。そんなゴールドラッシュの当時を再現したテーマパーク、ソブリンヒルに行くつもりのである。シャトルバスが列車に会わせて運行しているということであったが、全く見つからず、路線バスのバス停も全然見つからず、結局歩いていくことにした。
少し近代化はしているが、アメリカの西部劇を思わせるような町並みで、街自体を歩いていても楽しい。中心部を抜けると、今度はこれぞ郊外の家といった感じで、きれいな家々が軒を連ねる。通りを走る車も少なく、天気も良く、散歩するには最高の環境だった。30分も歩いたところで、やっと目的地ソブリンヒルに到着した。入り口を入るなり、昔の服装をしたおばあさんがパンフレットを配っていて、日本人の方ですか?と聞かれた。さすがに、日本語で話しかけてはこなかった。そうですと答えると、日本語のパンフレットをくれた。他にも、たくさんの言語のパンフレットが置いてあり、外国人がよく訪れるところなのだなと思った。
バララットの歴史を紹介した資料館を抜けると、映画のホール。さすがにナレーションは全く聞き取ることができず、映像だけを見ていたが全然面白くない。10分くらいの映画を見て、ソブリンヒルの街へ出かける。まず目に付くのは、砂金を探している人々。川が流れていて、実際に砂金を自分の手で取ることができるらしい。しばし、他の人がやっているのを見ていたが、やっぱり見つけるのは大変みたい。ちなみに、実際に見つけると、その砂金をもらえるそうだ。
そして、メインストリートに出てみれば、そこは西部劇の世界そのまま。ここはオーストラリアなのだけど、アメリカの西部の町並みだ。通りに面して、洋服屋、バー、パン屋、宝石屋、いろいろな店があり、その全てが普通に営業中。昔の服装の人たちが、店番をしているので、ちょっとのぞくだけでも面白い。そして、その中にホテルもある。もちろん宿泊することができ、ソブリンヒルの二日間入場券というのもちゃんと用意されている。
一通りまわったあと、階段を降りていって、金鉱探検ツアーにでかける。10分ごとに決められた人数で金鉱に入っていくツアーで、無料であるから行くしかあるまい。しかし、このガイドのお姉ちゃんの英語が、早いことこの上ない。何を言っているかまったくわからない。でも、雰囲気的には大体つかめた。ようするに、佐渡金山と同じで、蝋人形が当時の掘削状況を再現している。
そして、メインストリートに戻ってきた。お昼を過ぎていたので、パン屋さんでパンを買って、ベンチで食べる。お昼を過ぎて、昔のいでたちの伯爵やお嬢さんが街を歩き、アコーディオンなどで楽しげな演奏が始まり、これらを見聞きしているだけでも楽しくなる。
このままもう少し見ていたかったが、自分には時間がない。もう一つの目的地である動物園に行かねばならない。その前に、ゴールドミュージアムなるものが、ソブリンヒルの入場料で入れるというので行ってみたが、時間の無駄に終わった。ここから目的地の動物園までは、もともとバスがないのはわかっていたので、4kmの道のりを気合いを入れて歩いて行く。それにしても、人も少なく車も少ない。住むには最高の環境だ。
こちらの季節ではすっかり秋だというのに、日差しが照りつけ、暑いくらい。足が痛くなってきた頃に、やっと目的地であるワイルドライフ&レプタルパークに到着。オーストラリア原産の動物中心の動物園。入り口でパンをもらうと、ちょうどコアラに餌をあげているところ。係の人がコアラをだっこして、ユーカリの葉を食べさせている。そして、ぐるっと一周して、みんなにさわらせてくれた。もちろん自分もさわってみたが、ふわふわの毛糸のような感じで、まさに生きたぬいぐるみであった。
そして、そこらにいるカンガルーに入り口でもらったパンをあげる。カンガルーは放し飼いになっており、パンを見せるとよってくる。というか、人を見ると、餌をもらえると思って、何も持っていなくても寄ってくる。器用に手を使って食べるものや、犬食いのものや、見ているだけでも飽きない。そうこうしていると、今度はウォンバットに餌をあげるという案内があった。30分おきに動物をかえて餌をあげているので、飽きさせない演出である。ウォンバットにもさわることができたが、こちらは毛がばりばりに堅くて、やまあらしのようだった。
ふと周りを見渡してみると、日本人がちらほら見かけた。明らかに新婚旅行のようなカップルや、女の子のグループ、自分としては少々肩身が狭かった。メルボルンからかなり離れているし、マイナーな場所だと思っていただけに、これだけ日本人がいるとは驚きでもあった。
他には、一世を風靡した襟巻きトカゲや、エミュー、タスマニアンデビルもいる。そして、何といっても、ここの売りはコアラだと思う。コアラというと、木の上で寝ているだけと相場が決まっているが、ここのコアラは餌のユーカリが来ると、地面を走り回っていた。もう一頭は、地面に降りたいが、やっぱり怖いといった感じで、鳥におびえて屋根の上にまで登ってしまった臆病さん。本当に見ていて飽きない。
1時間ほど滞在して、そろそろ帰らなければならない時間になっていた。本当は15時の列車に乗って明るいうちにメルボルンへ帰り、街をもう一度歩こうと思っていたのだけれど、バララットが盛りだくさんだったので、次の1時間半後の列車にしたのだ。
バスに乗って帰ろうかなとバス停の時刻を調べてみると、何と今日は土曜日ということで、昼にしかバスがない。通学用にしかバスが走っていないようだ。仕方がないので、またしても4kmくらいある道のりを駅まで歩いて帰っていく。今日は10kmくらい歩いた上、施設の中でも歩き回ったから、すっかり疲れてしまった。列車の出発時刻には無事間に合い、同じ道をメルボルンへと戻っていく。メルボルン到着時には、すっかり日も暮れていた。
さて、今日の宿は夜行列車である。シドニーがあるニューサウスウェールズ州の鉄道会社、カントリーリンク自慢のXPTという列車に乗る。最高時速160kmを誇るオーストラリア一速い列車で、外見はまんまイギリスのICである。ここメルボルンがあるヴィクトリア州の鉄道会社Vラインは広軌、カントリーリンクは標準軌で線路幅が違っているが、国鉄としてメルボルン−シドニー間は標準軌で統一されている。今日と明日、夜行連泊となるので、ここは奮発して寝台列車にした。しかし、エコノミー座席を見てみると、標準軌であるのに四人掛けだから、かなりゆったりしていたので、一回は座席にしても良かったかなと思った。
寝台車は個室で、一人で使っても二人分の料金は請求されない、どこかとは違ういたって紳士的な料金設定。昼は三人用のコンパートメント、夜は2段式寝台として利用し、飛行機ばりのトイレ室にシャワーが備え付けられた部屋が、二部屋に一つ付いている。デラックスツインに近いというと、わかる人にはわかってもらえるだろう。乗るなり係の人が現れて、朝食はどうするか聞いてくる。寝台車には朝食が付いているらしい。ちなみに、この列車にはビュッフェがある。そして、寝台車は初めてかというので、そうだというと、あーだこーだと説明してくれた。すばらしい徹底ぶりだった。
そして20時05分に定刻出発した。シドニーの到着は翌日6時45着。寝台車の客には、夕食の注文を聞きに来てくれる。頼むと、30分くらいのちに、暖かな料理を持ってきてくれる。しかし、駅で既にサンドイッチの夕食を食べていたので、ここは我慢。シャワーも浴びて、朝も早かったし、さっさと寝ようと思ったが、余りにも揺れが激しくて、ぜんぜん寝られやしない。ここで一つの寝台に枕が二個ずつ付いていることがわかった。二個使うと、随分振動も和らいで、何とか眠ることができたのだった。

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