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4月28日(月)
St.Moritz9:05 11:20Campocologno11:42 11:52Brusio14:07 14:28Tirano15:02 2599 17:30MinanCentral

朝目覚めると、今日も曇り空だった。昨日の氷河急行か、今日のベルニナ線のどちらかで晴れてくれればと思っていたのだが、今日も天気はあまり良くないのではがっかりである。ホテルの朝食は一応食べ放題であるが、パンにチーズ、ハムだけではそれほど多くは食べられない。リゾート地のサンモリッツで、そこそこ良いホテルに泊まったのにこの程度とは。

湖今日はサンモリッツからイタリアのティラノまでベルニナ線に乗る予定である。このベルニナ線はトーマスクック編集部でもおすすめの景勝ルートで、普通の列車(ラックレールなどで登る登山電車を除く)としてはヨーロッパ最高地点を通っていて、前半は広大な氷河、後半は南国的な高原の景色という変化に富んだ路線である。最近はパック旅行でも、組み込んでいるものもあるほどである。

ベルニナ線サンモリッツ観光は駅前の湖に行くだけで出発する。小銭を使い果たすため、氷河急行とベルニナ急行の写真集を購入した。どちらも10SF(900円)で少々高めであるがお勧め。このRhBベルニナ線は箱根登山鉄道と姉妹関係で、ホームに日本語の駅名板がある。これは三つの駅に箱根登山鉄道が寄贈したもので、逆に箱根登山鉄道の列車名にベルニナ号、サンモリッツ号の名前が付いている。

サンモリッツを出て少し走ると、ポントレシナ駅で勾配を登るため機関車を連結する。ついでに丸太を積んだ貨車も連結。ここから氷河の上を越えて、山を丸々一つ越えてしまうのである。駅を出てすぐに70パーミル(1,000m進む間に70mの高低差があること。箱根登山鉄道は箱根湯本を出てすぐに80パーミルの勾配がある)の勾配を登り、あっというまに今出てきた駅が小さくなって行く。

氷河標高を上げ徐々に雪が出てきた頃、雲が無くなり真っ青な空に真っ白な山々が現れた。これは本当に言葉にならないほどすばらしい景色。両側を山に挟まれ、列車の進む方向にはどこまでも続く氷河と、くねくね曲がりながら登って行く線路。いつまで乗っていても頂上に着かないのではないかと思うくらい氷河の規模が違う。わざわざこれ乗るために、二日もかけ高いホテルに泊まったかいがあった。

目で見ているだけではわからなかったが、帰国後撮った写真を見ると、山を登るほどに空の色は黒さを増し、山の上では飛行機の上から撮るような空の色になっていた。どんどん山を登って行くが、いくらなんでも終わりがないはずがない。ついに頂上に到着し、信号所のようなオスピツィオベルニナ駅(2,253m)で機関車を切り離した。この機関車はティラノ側では必要なく、サンモリッツ側のみで使用するらしい。

アルプグリュム駅下りに入ると、ラーゴビアンコ湖を横目に見ながら列車は走り、アルプグリュム駅に到着した。山の上の小さな駅で周りに誰も住んでいる気配はないが、駅にはビュッフェがあり、夏になると峠の駅からここまでハイキングが楽しめるようだ。もちろん、今の時期は雪が多くてハイキングなどできないから、だれも乗降客はいない。ちなみに、この駅にも日本語駅名板がある。

ポスキアーヴォはるか下方に町が見えてきた。これから40分もかけて下って行くポスキアーヴォの町である。あんなところまで下って行くのかと思うと驚く。それよりも線路が右に左に回りながら下りて行くのは、さながら鉄道版いろは坂。こんな鉄道模型のような鉄道があっただろうか。さらに下るとすっかり雪はなくなって、初夏の陽気になってきた。まだスイスであるが、家の形がイタリアに来た感じである。

そして、ポスキアーヴォの駅に到着した。町自体は小さな田舎町である。駅を出発してのんびり走っていたと思ったら、横を走っていた道路がどんどん狭くなってゆく。なんと、列車が道路の上を走っているのだ。路面電車とはまた違い、片側の車線を列車が走っている。対向車もよけるのが大変で、列車と進行方向が同じ車は、列車の後ろにつながっている。これはなんとも不思議な状況であった。

オープンループまだまだいろは坂状態で下ってゆき、ついに世界でも類を見ないオープンループにさしかかった。高低差をかせぐために山のループ線は数あるが、目の前にぐるっとまわったループ線が見られるのは、ここぐらいしかないのではなかろうか。オープンループを越えたとき、是非とも列車を降りて撮影をしたいと思った。時刻表をチェックしたところ、ミラノ到着が2時間遅れになるが、列車が2本撮影できる。

そうと決まればすぐさま決行である。もともとミラノ到着は早めの予定だったからこんな事ができたのだ。次に着いた駅は終点ティラノの一つ前の駅。20分ほど待って、また山を登って行き、ループ橋近くの駅で途中下車した。この列車には車掌さんが乗っていないローカル列車で、降りるときにはバスのように、ボタンを押さなければならなかった。

オープンループ駅を降りて1kmくらいあると思われたオープンループまでは、徒歩5分くらいで到着し、列車がいかに遅く走っているかを感じた。30分待ってループの下から列車が、さらに20分待ってループの上からベルニナ急行を、じっくり撮影できた、こんなヨーロッパの片田舎で、日本でやっているような途中下車と列車撮影をしてしまうとは、我ながらおかしかった。

こうして列車を撮り終えると、次の列車でティラノへ向かう。左の道路にイミグレーションが見えてくれば、イタリアのティラノ駅である。パスポートを見せるだけで、難なくイタリアへ入国した。サンモリッツ駅で余ったスイスフランをイタリアリラに替えていたので、遅い昼食にパンを買う。ハムを挟んだだけだが、これがうまい。ついついもう一個買ってしまった。

ペンドリーノここからミラノまではコモ湖畔を通って3時間。長丁場であるが、一等は豪華なリクライニングシートで良かった。ミラノには定刻の17時半に到着。この時間、TGV、チザルピーノ、ペンドリーノと優等列車が目白押し。ミラノも高速鉄道の要となりつつある。ペンドリーノは去年から走りはじめたばかりの300km/h対応の列車で、フェラーリ社のデザインということで、ごっつい車体の中にも風格がただよっていた。

駅を出てすぐのところでホテルをGET。一つ星とは思えないほど安くてきれいで広い。受け付けのおばちゃんが陽気に英語でべらべらしゃべるので、また今年もイタリア人とイタリア語でしゃべりたいと思った。夕食はミラノ駅下のお食事コーナーで食べる。去年はここの存在に気づいていなかったが、ピザがおいしいくて安い。小さな店なのに、ちゃんとピザ用の大きな窯を持っているからだろう。

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