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4月27日(日)
Geneve7:32 Cisalpino33 9:22Brig10:32 12:26Andermatt13:34 GLACIER EXPRESS904 18:11St.Moritz

今日は一日列車に乗りっぱなしの日程で、列車を乗り継いでスイス国内を西から東へ縦断する予定である。日本とは時差があるので、朝は6時前に目覚めてしまった。7時半の列車に乗る予定だが、朝食は7時半からということであきらめていた。しかし、実際は6時半から食べられた。とろけるチーズならぬとろけてるチーズと濃厚牛乳で、スイスへ来たなと思う。

チザルピーノさて、鉄道の旅第二弾は、これまた去年の秋から走りはじめたばかりの新型特急CISALPINO。チザルピーノとは、昔ミラノを首都とした国の名前で、現在ではアルプスの南側という意味で用いられるイタリア語。イタリアのミラノと、スイスのジュネーブ、ベルンを結ぶ国際列車なので、なかなか良い名前が付けられている。スイス内のみの利用であれば予約の必要はなく、ユーレイルパスのみで乗車できる。

このチザルピーノは、イタリアのペンドリーノに使用されている車両の後継機で振り子式車両。先頭車がカーブを検出すると、段階的に傾いていくところが、日本の線路情報から事前に傾ける自動式制御振り子と違っている。あいにくの雨模様であるが、レマン湖を右に見ながら進み、去年行ったシヨン城を過ぎれば今度は山岳路線に突入する。高い山々の間を走り抜け、あっという間にブリークに到着した。

ブリークに着くと、なんとか雨もあがっていた。ここからは氷河急行に乗って一気にサンモリッツを目指したいところであるが、日本で確認したところ満席で、しかも当日は予約できないとのことで、普通列車で進むことにした。さすがは世界に名だたる観光列車である。もちろん普通列車でも車窓風景は同じだし、途中駅で氷河急行に抜かれるため、空席があるようなら乗車することも可能と考えたからである。

ブリーク駅ブリークから東はフルカ・オーバー・アルプ鉄道(FO)という私鉄となり、FO区間はユーレイルパスでも乗車できない。線路幅も狭くなっており、国鉄の駅には乗り入れられなくて、国鉄の駅を出てすぐの所に、路面電車乗り場のように駅がある。とりあえず、FO区間の終着駅であるディセンティスまで、二等42SF(3,700円)の乗車券を買い求め、アンデルマット行きの普通列車に乗り込む。

列車は出発すると、急カーブも何のその、どんどん高度を上げて行く。途中にはループ線などで高度をかせいだり、ラックレールがあったりする。そして、昔なら西側のハイライト、鉄道会社の名前にもなったフルカ峠越えが控えていたのだが、新フルカトンネルの開通により急勾配の山を越えることなく通り抜けるようになってしまった。もちろん景色が楽しめるわけはない。

長いトンネルを出ると、雪ががんがん降っていた。今までの高原のイメージはどこへやら。暑いくらいだった車内もすっかり寒くなっていた。そして、この列車の終着駅アンデルマット(1,436m)に到着した。次の普通列車までの間に氷河急行が通るので、ここから乗ることが可能である。とりあえずここで昼食とするが、スパゲティが千円近くもしてびっくり。

氷河急行氷河急行がホームに入ってきた。混んではいるものの、なんとか座ることはできそうだ。ここから先もまだFO区間が続くため、本来二等に乗らねばならないが、車掌さんにFO区間の二等切符と、その先の一等ユーレイルパスの切符を見せると、いきなり一等のパノラマ車両に乗せてもらえた。しかも、本来は座席指定料9SF(800円)が取られるところだったが、タダだった。どれもこれもラッキーだった。

こうして、鉄道の旅第三弾の氷河急行の旅がはじまった。氷河急行は、マッターホルンで有名なツェルマットから、夏の保養地サンモリッツまでを一日かけて結ぶ列車である。一つの鉄道会社が経営しているわけではなく、BVZ、FO、RhBの三私鉄にまたがって運行されている。その中でも、FO区間が氷河急行のハイライトで、鉄道パスで乗り放題にならない区間である。

氷河急行に乗るには、乗車券の他に特別な料金は必要でなく、区間利用も可能である。ただし、FO区間内では座席指定料金9SF(800円)が必要となる。氷河急行には通常の客車の他に、食堂車(予約無しではほとんど利用不可)と一等にはパノラマ車両と呼ばれる屋根までガラス張りの車両も連結される。二大リゾート地を結び、氷河見物もできるとなれば世界中から観光客が押し寄せるはずである。

氷河急行名物の傾いたグラスが、15SF(1,300円)で車内で売っていたので購入した。しかし、これは氷河急行が停車するほとんどの駅で売っていた。ちなみに、このグラスは大げさに傾いていて、実際にはこんなに角度がある区間はない。それでも、お土産としてはいいだろう。車内は年輩の団体客と思われる人ばかりで、日本人はいなかった。まだGW旅行には早いのかもしれない。

列車はどんどん山を登って行き、ついに雪山の上に出た。曇ってはいるが、雪のまぶしさは相当なもの。団体の人々はサングラス持参で用意周到だった。天気が良ければ良い景色だろうが、真っ白で何も見えない。標高2,033mの最高点を越えれば、一気に下りである。この辺りが東側のハイライトで、フルカ峠が越えられなくなった今、全線通して乗る時間のない人は、ここだけ氷河急行に乗車すれば良い。

雪もすっかり無くなったところで、ディセンティス(1,130m)に到着した。ここからRhB区間に入り、列車の速度も急に速くなる。FO区間だけが少し特別であり、峠を越える急勾配があるのも、この区間だけなのだろう。普通の鉄道になって、すっかり風景にも飽きてしまったころ、ライヒェナウ(604m)でクール行きと切り離し、方向転換してサンモリッツへ向かう。

ランドヴァッサー橋ここからサンモリッツまではアルブラ線とよばれ、クール〜サンモリッツ〜ティラノ間を走るベルニナ急行の前半にあたる。近年このベルニナ急行は、氷河急行よりも人気を集めている。山を登り始めると線路は崖を走るようになり、特に弧を描いたランドヴァッサー橋は圧巻である。さらにその後、ループに次ぐループで山を登って行き、今通ってきた線路が右に左に見えるのは何か不思議な感じがする。

山を登り切って平地に出れば終点はもうすぐで、標高1,775mのサンモリッツ駅に到着した。さて、毎日のことであるが、ここからホテル探しが待っている。今回の行程の中で、二回ホテルが取りにくいと思っていたが、そのうちの一回目がここである。シーズンオフとはいえ、高級ホテルが立ち並ぶリゾート地なので、安いホテルはもともと無い土地なのである。

目星をつけていた駅前の安いホテルはあいにく休業中。駅に戻ってホテル一覧を見てみると、半分以上が休業であった。営業しているホテルで駅に近く、そこそこの料金のところを選ぶと一人八千円。ジュネーブのホテルが四千円だったから、いかに高いかがわかる。しかも、昨日と同じ三ツ星ホテルだというのに。日本でいうなれば、黒部アルペンルートの室堂に泊まっているようなものだから、やっぱり料金は高かった。

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