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11月26日(水)
Hotel332 8:10LisbonSantaApolonia
リスボン市内観光(ジェロニモス修道院, ベレンの塔, クリストレイ)
Holiday Inn Lisboa Continental

すさまじい振動で何度か起こされた。一軸台車のタルゴとあって、振動を吸収すべき台車が無いに等しいから、振動がもろに伝わってくる。スペイン国内では路盤を良くすることで振動をふせいでいたのだろうが、ポルトガルは路盤の整備が行き届いていないようで、振動が激しい。通過する駅に通勤客の姿が見えるようになれば、そろそろ到着である。時計を1時間戻して、グリニッジ標準時にした。

ポルトガルと言えば、日本に西洋文化を初めて伝搬した国である。その時代に文化や食べ物が交わり、国名(英語ではグリースはギリシャなど)、パン(ブレッド)、カルタ(カード)、カステラ(スポンジケーキ)、コンペイトウなど、外来語の多くが今も日本に残っている。大航海時代には世界を股にかけた大帝国だったが、今ではその面影もないほど小さな国になってしまった。

新米車掌のお姉さんが、切符を返しにきた。ここで乗り放題切符を受け取らないと、大変なことになってしまう。リスボン市街に入り、最初に泊まった駅はオリエンテ。地下鉄や近郊線に乗り換えるには、この駅の方が便利である。ここで降りようかどうか悩んだのであるが、結局終点まで乗ることにした。5分ほどで、終着駅サンタ・アポローニャ駅に到着した。

同室のみなさんは別々の旅路についた。こちらはとりあえずコインロッカーに大きめの荷物を入れ、駅のスタンドでパンを食べて一息つく。ポルトガル始めての店であまりよくわからなかったが、ポルトガルはどこへ行ってもショーケースがあってお菓子が並んでいる。しかも、男が集まってコーヒーを飲みながら、甘いお菓子を食べている。それほど、お菓子を日常的に食べるお国柄で、お菓子好きにはたまらない国であろう。

サン・アポローニャ駅サン・アポローニャ駅はポルトガル一の大ターミナルと思いきや、近郊列車が数本と、長距離列車が数本しか停まれない、比較的小さな駅である。その近郊列車も通勤ラッシュが終わった時間でもあり、1時間に数本しか列車がない。しかも、この駅から地下鉄に乗ることはできない。路面電車の駅も近くにない。町の中心街に一番近いとはいえ、2kmくらい離れている。

イベリックパスもあることだし、近郊列車と地下鉄を使って、町の中心街を目指すことにした。近郊列車で二駅乗ればオリエンテ駅であるが、その前の駅でいろいろな方面へ向かう近郊列車に乗り継げる。しかしこれまた乗り継ぎが悪い。列車本数があまりにも少ないのだ。やっと列車が来て数駅乗るが、こんどは地下鉄の駅まで歩かされた。旅行者泣かせの国だ。国鉄と地下鉄がぜんぜん連携していない。

リスボン市内をぐるりと半周した形で、やっと中心街にたどり着いた。東京でいうならば、上野から山手線で新宿まで行って、地下鉄で東京に戻ってきたのと同じ。上野から東京まで列車が走っていないから、こんな行程になってしまう。昔の大航海時代の栄華はどこへやら。首都リスボンでさえこの状態では、インフラ整備がまだまだ整っていない国であることが感じられた。

ジェロニモス修道院カイス・ド・ソドレ駅から路面電車に乗って、リスボン最大の目的地であるジェロニモス修道院を目指す。近郊電車で行けば短い時間で到着することができるが、のんびりごとごと走る路面電車で行く方が趣がある。さらに路面電車を降りれば、駅の目の前がその修道院である。修道院は世界遺産にも指定されており、様々な建物からなっている。その中心をしめるのがサンタ・マリア教会である。

かの有名なバスコダガマが眠り、天正少年視察団も訪れたという由緒正しき教会である。一階部分は無料で誰でも入れるが、二階や回廊を見学するのは有料になっている。しかし、この有料部分へは行くべきである。教会の二階からは、教会全体像を俯瞰することが出来る。回廊も彫刻が見事であり、スペインで石の彫刻を見てきた後では感動があまりないのであるが、素晴らしさには変わらない。

発見のモニュメント修道院内を一通り見て回ったあと、線路を渡って川沿いへ向かう。リスボンの街は海に面していると思われがちであるが、そうではない。テージョ川の脇に出来た町であり、その川を数km下ると大西洋に出られる。川の近くには小さな売店が建ち並び、ここで軽くホットドックをお昼とした。その目の前に、大航海時代に活躍したエンリケ王子の500回忌を記念して造られた発見のモニュメントがある。舳先にエンリケ航海王子が立ちに、船が海に出ていこうとしている。屋上にはエレベータで上ることができ、360度のパノラマを楽しめる。また、モニュメントの前は広場になっていて、ポルトガル人が始めて訪れた国々の年号が書き込まれている。日本は1541年だった。

海沿い、もとい川沿いをぶらぶら散歩しながら、ベレンの塔へ。少々距離があるが、天気も良いので散歩するにはちょうど良い。ベレンの塔は、リスボンへ入る船を監視していたという見張り台で、これまた世界遺産に指定されている。建物の彫刻が美しいのであるが、それ以上これはという見所があまりなかった。屋上まで上れるのであるが、発見のモニュメントで十分である。

ベレンの塔近郊電車で市内に戻ろうと思うと、このあたりはちょうどベレン駅よりもその次の駅の方が近いくらい。それなら次の駅まで歩いてみよう。しかし、今ままで歩き続けていたこともあって、つまらない風景のところを歩き続け、結構な時間かかってしまった。やはりベレン駅に戻った方が良かったかもしれない。こちらの駅は駅前に立派なバスターミナルがある、案外大きめの駅っだった。

近郊電車でカイス・ド・ソドレ駅に戻ってきた。とりあえずリスボン最大の目的は完了したので、あとはどこへ行こうか。古い町並みが残るアルファマ地区、丘の町リスボンらしい写真が撮れるポンバル侯爵広場、対岸にそびえるクリスト・レイ、などがあと半日で巡るべきところだろうか。リスボンはあまり予定を決めずに来てしまったので、その場で予定を決めている状態である。

クリスト・レイその中で、まずは時間がかかりそうなクリスト・レイへ行くことにした。駅から少し歩いたところに船乗り場があり、対岸まで10分程度で結んでいる。のんびり船旅を楽しむはずだったが、あれほど晴れていた空が曇り始めた。そして、船を下りる頃には雨が降り始めた。まだ傘を開くほどではないが、展望台へ行くのにこの天候はつらい。船乗り場の目の前がバスターミナルになっていて、10分ほど待って、クリスト・レイ行きのバスに乗車した。バスは市内をぐるぐる回り、30分もかかった。バス停だけの何もない丘の上に降ろされた時には、天候は最悪の状態になっており、暴風雨となっていた。ポルトガルはこの時期雨が多いと言われていたが、こんなに急に天候が変わるとは。

クリストレイに入る前に、前方崖の方へ行くと、4月25日橋やリスボンの町並みが一望できる。しかし、雨のため見える景色はもやがかかった白い景色になっていた。クリストレイ自体はというと、高い台の上に立ってブラジルの像を真似た手を広げるキリスト像が見えるのだが、これまたもやでかすんでいる。展望台に行って、意味があるのかどうか。しかし、ここまで来たので、とりあえず中に入ってみる。

4月25日橋入ってすぐの一階は、まっすぐ進むと教会になっており、左側にエレベータ乗り場がある。暇そうにおばさんが本を読んでいたりするのであるが、お金を払ってエレベータに乗ろうとすると、ちょっと待ってろと言う。おそらく一人で乗せるのは非効率なので、他の客を待っているのだろう。こんな悪天候で客が来るはずもなく、予想通り一人でエレベータで上の階へ上っていく。

少し階段を上がると、お土産屋がある。キリストの張り付け像など、なぜこんなものをポルトガル人は欲するのかわからないが、かなりグロテスクな置物が並んでいる。そして、お土産やを通り抜けると、屋上へのドアがある。ドアを開けた瞬間・・・なんだこれは!と叫びそうになった。台風のような暴風雨。外に出るだけでもやっとの状態で、景色が見えるはずもない。ほんの数秒で戻ってしまった。

展望が期待できないから速攻で帰ろうと思っても、エレベータを呼ぶボタンはなく、他に客が上がってくる気配もなく、下で本を読んでいるおばちゃんが気が向くまでエレベータはこないのだろう。土産物屋をくまなく二往復できるくらいぶらぶらし、やっとエレベータが着たときには、すっかり待ちくたびれていた。外に出ても、相変わらず雨が強く降っていた。

同じルートで市街に戻るのはつまらない。丘を少し下って、4月25日橋のたもとまで行けば、鉄道で市街に戻れるはずである。しかし、駅がなかなか見つからない。雨の中駅を探し回るのも辛くなり、バスで戻ることにした。橋へ向かう道へ下りればバス停はあるだろうと行ってみると、予想通りバス停があった。市街へ行きそうなバスが5分も待たずにくるらしい。それならそれに乗って戻ることにする。

ケーブルカー4月25日橋を渡り、高速道路のような道を進んで、どこをどう進んでいるのかわからなかったが、地図にあるショッピングセンターから、ちょうどポンバル侯爵広場で降りられた。しかし、雨のために景色は最悪。写真を撮る気力もなく、さっさと地下鉄に乗って町の中心街ロシオ広場に行ってみるが、町歩きをしてもぜんぜん楽しくない。雨の中の町歩きは今までに記憶無く、天気がいかに重要かと思った。さらに展望台やアルファマ地区をぶらぶらする予定だったが、雨が降っている中では行っても仕方がない。ということで、さっさとホテルへ向かうことにした。まだ時間はあるので、地下鉄を乗り継いでオリエンテ駅へ向かい、近郊電車でサンタ・アポローニャ駅に戻ってきた。

コインロッカーから荷物を取り出す。荷物を入れるとき、やけに安いなと思っていたら、時間がたつ毎に追加料金を入れなければ荷物が取り出せないようになっていた。またぐるぐる鉄道で行くのも面倒になったので、タクシーに乗って予約しているホテルへ向かうことにした。町中のホテルといっても、そんなに小さな町ではないので、案外距離があって10ユーロ以上かかってしまった。

やれやれ、やっとホテルに着いたかと思ったら、ここのホテルではないですよと言われてしまった。なんと違うホリディ・インだった。確かにこの値段では豪華すぎるホテルだと思っていた。荒い運転でぶっきらぼうな運ちゃんだったが、目的地まで間違えるとは。別のタクシーがすぐに捕まえられて、タクシーで10分ほど乗って、なんとか予約していたホテルに到着できた。

夕食を食べるためにまた出ていくつもりであったが、すっかり疲れてしまって、ホテルのレストランで夕食を取ることにした。食事は塩辛い系で、まさに日本人好みの味。ポルトガルは魚をメインにした食事が多いので、それも日本人にとってはうれしい。さらにワインは銘柄指定のハーフボトルが10ユーロ(1,300円)程度で並んでいて、ホテル価格を考えてみれば、実際の価格はもっと安いに違いない。

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