'97夏 九州旅行と韓国旅行 その05 - 慶州

8月12日(火)
釜山9:18 Mugunghwa322 11:17慶州
慶州(瞻星台, 雁鴨池, 古墳公園)
15:00慶州 16:30釜山
釜山(チャガルチ市場, 釜山タワー)
ソウル荘旅館

台風はとっくにどこかへ行ってしまったというのに、いまだに天候は曇り空。実は台風の影響ではなく、東京から、大阪、釜山と雲がずっとかかっている状態だった。天気予報によれば、ソウルは快晴だというのに。釜山駅へ向かう途中のコンビニでパンを購入して駅で食べる。ホームの上を渡っている橋の上に各ホームごとの改札があるので、この橋の上も待合室の様相を見せている。

そういえば、駅の入場券を韓国ではまだ売っているという情報を得ていたので、記念に買っていくことにする。言葉が通じないことも考えて、ハングルの本を用意していたのであるが、窓口でイプチャンコンというとあっさり通じて購入することができた。先人の日本人鉄チャンのおかげであろう。一枚300won(39円)とは安い。これから乗る列車もべらぼうに安いのであるが。

韓国の列車は、停車駅や車両の種類により、超特急セマウル号、特急ムグンファ号、急行トンイル号、普通ピドゥルギ号という種別がつけられ、ほとんど全席指定である。しかし、列車本数が少ないこともあるので、乗りたい時間に乗りたい種別の列車に乗れるというわけでもない。今日これから乗る線も例外にもれず、列車は少ない。9時台の列車はムグンファ号しかなく、1〜2時間に1本の列車しかない。

ムグンファ号

椅子に座って改札が始まるのを待っていると、なぜか早くから行列ができ始める。改札はホームごとで、列車の出発10分前くらいに始まるのだが、全席指定席であるから並ぶ必要はまったくない。飛行機の搭乗ゲートで、改札が始まらないのに並んでいるのと同じようなもの。これからたびたびこの現象を見かけたので、どうやらこれは韓国人の習性らしい。

今日乗るムグンファ号は、ディーゼル機関車の牽引する客車列車。車内は、線路幅の影響で幾分広い感じがするが、日本の特急列車とほぼ同じとなっており、しっかりリクライニングシートであった。速度は遅いしすぐに駅に停まるしで、100kmそこそこを2時間もかかってしまうのも納得である。風景は日本とまったく同じ、車内販売が歩き回っているのも日本と同じ。本当にここは外国なのだろうかと思ってしまう。

慶州駅

慶州には定刻に到着した。のんびり改札へ向かうと、予想通り駅員はいなくなっており、切符を難なくGETできた。日本でも列車の切符は記念にもらっているので、韓国でももらっていく。慶州(キョンジュ)は日本でいうところの京都にあたる歴史的な場所で、新羅の王都があったところ。見所豊富で一日ではとても見て回れないので、今回は駅前周辺に限定して歩くこととした。

少し歩くと古墳公園に到着した。観光バスやお土産屋がずらりと並び、呼び込みのおばちゃんも元気よく、日本の観光地となんら変わらない。このあたりは遊歩道のように道がよく整備されており、車の通りもなくのんびり散策を楽しめる。奈良の東大寺近辺の散歩道のような雰囲気である。観光地の説明書きにはハングル、英語に加えて日本語も書いてある。道案内もしっかりしていて、漢字があるのもうれしい。

ときおり韓国人に道を聞かれるが、道もわからないが韓国語もしゃべれない。ハングククモルラヨ(韓国語はわかりません)を何度も暗記するが、とっさになるとやはりしゃべれない。結局、わからないという身振りを示すばかりであった。それにしても、韓国人は誰彼かまわず道を尋ねている。今の日本では考えられなくなってしまったが、昔の日本もこんなだったのだろう。古き良き時代があるように感じた。

瞻星台

少し歩くと、瞻星台(チョムソンデ)が見えてきた。東洋最古の天文台と言われ、石造りのとっくりのようなものが建っている。これがまたおもしろいところで、そのとっくりは外から丸見えなのだが、それなのに入場料を取る。しかも建物の中に入れるようなことはない。不思議な光景とも言えるが、入場料160won(20円)の安さに、つい入ってしまうのだった。

すぐ近くの同じ入場料160won(20円)の鶏林(ケリム)を見た後、雁鴨池(アナプチ)へ向かう。しかし、分岐路のところに今まであった道案内がない。賭けで登っていった先の道は、なにもない小高い丘の上のハイキングコースだった。道を間違えたかと思いつつも進んで行くと、石氷跡という看板があったので、この丘自体が半月城跡地であることがわかった。すると、丘を下ったところに、目指す雁鴨池があった。

雁鴨池

ここは、半月城の離宮として使用されていた臨海殿があったところで、現在は当時の1/4スケールの建物が復元されている。1/4でも普通の建物と同じくらいの大きさをしているのだから、当時は体育館くらい大きかったのではないかと思われる。池と建物の調和が良く、のんびりするには最高の場所である。入場料660won(86円)というのも、相変わらず安かった。

駅への帰り道で時間がありそうなので、古墳公園に寄って行く。ここも入場料660won(86円)。丸いおわん型の古墳が点在しているだけで、しかも古墳は公園外でもいくつも点在しているので、いくらでも見ることができる。しかし、天馬塚という古墳だけは、発掘品などの展示を行っており、天馬図という天馬の絵は、当時の色のまま見ることができるので、このために入場する人も多いだろう。

古墳公園

ここで突然、英語で写真を撮って欲しいと言われた。さっきから韓国語でビシバシ道を聞かれていたので、韓国人が英語をしゃべるはずも無いだろうしと思っていたら、なんと日本人だった。日本人同士でこんな土地で英語でしゃべっているなんて、とお互い笑ってしまった。すっかりお昼を過ぎてしまった時間であるが、そこらの食堂で昼食とすることにした。

食堂はいたるところにあるので困らないが、まだ言葉の壁はやぶれていなかったので、メニューを読むにはまだまだ時間がかかる。しかし、店の窓ガラスに、カルビとか冷麺とかハングル表記してある食堂が多いので、時間をかければハングルを読める身としては、すごくありがたかった。とりあえず今度こそと、ピビンパプと書いてある店に入ってみる。

が、またもやピビンパブは無し。おいおい、外に書いてあったじゃないかと思いつつ、またもや昨日と同じ方法で食べ物一覧の写真を見せて、ある物を指さしてもらう。すると、やっぱりチゲ(鍋)しかなかった。今日は豆腐や豚肉を煮込んだスンドウブチゲ。チゲも嫌いではないからそのまま頼む。昨日に比べると漬け物皿の数が少ないが、4皿並んで腹一杯になった。値段は4,000won(520円)。

予定していたところは一通り見終わったので、釜山へ戻ることにする。次の列車は1時間後まで無くて、しかも普通ピドゥルギ号で3時間もかかってしまう。列車本数は本当に少ない。バスなら30分おきくらいに出ていて、たった1時間で到着する。早めに釜山に戻って、チャガルチ市場や釜山タワーへ行きたかったので、ここはバスを選択することにした。

バスターミナルへ行くと、次のバスは3列シートの料金が高い優等高速バスだった。それでも、行きの列車と同じ3,900won(510円)なのだから、日本と同じく、列車よりバスを使う人が多いのもうなずける。しかし、韓国のバスどれをとっても言えることではあるが、運転が荒い。急に曲がる、急に止まる、高速道路はバンバン飛ばす。日本では考えられない。

釜山タワー

釜山市内に入って渋滞にはまり、バスターミナルには30分遅れで到着した。釜山と言っても、釜山のどこにつれてこられたのかわからない状態だったので、地下鉄が走っていた方向へ向かうと、東莱駅に10分くらいで歩いて行けた。そして、地下鉄で南浦洞まで行って、チャガルチ市場を冷やかしてまわった。ここは魚介類が豊富で、買った物を2階の食堂で調理してくれるそうだが、やっぱり辛い物へ走ってしまう。国際市場で、屋台を見てまわっているうちに、あれもこれもと食べ歩く。特に、辛いタレの中に餅をつけるトッポッキ2,000won(260円)がおいしかった。屋台のちょっとしたスペースを使って、立ち食いするのもまた楽しい。

言葉が無くても楽しめるところは楽しめる。ぶらぶらしていて気になったことは、のり巻き(キムパップ)の制作実演をしている店が多いこと。なんだか良くわからないが、ここではのり巻きがトレンドなのかもしれない。あたりがすっかり暗くなった頃に、釜山市街が一望できる、釜山タワーに登った。国際市場のあたりは、特にきれいだった。最後にしっかりお土産屋を通らされるのは、日本と同じ構造だった。


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移動日
ソウル
オドゥ山展望台
移動日
帰国