'03夏 ベトナムへの旅 その04 - ハノイ

8月9日(土)
ハノイ(ハノイ大教会, 水上人形劇)
Hotel Nikko Hanoni

とりあえず、駅まで戻ることにした。途中で旗の塔とレーニン像を見て、いかにソ連と関係があったかがよくわかる。ここで道を間違えてしまった。駅まで南に10分くらいのところまできていたのに、三角形のレーニン像がある広場をバイクおやじから逃げているうちに、西向きに歩き出していた。目印となる建物が少なく、地図を見ようと立ち止まると、バイクおやじが寄ってくるので、立ち止まることもできない。

バス停の系統図を見たり、太陽の位置で方角を推測したり、涙ぐましい努力をしていた。それもこれも次から次から湧いて出るバイクおやじのせいだ。落ち着いて、地図くらい見せて欲しい。やっと位置が確認できた時には駅の北西にかなりのところまで来ていた。結局炎天下の中1時間くらい歩き通し、朝訪れた文廟までたどり着けた。

バイクおやじに連れていってもらえば良いではないかと思ってはいけない。いくらふっかけられるかわからないし、どこへ連れて行かれるかわからない。タクシーやバイクに乗るときは、必ず地図を頭にインプットした後、違った道を行っていないか終始確認し続けなければならない。タクシーに乗れば目的地に連れていってもらえる、という当然のことが、この国ではできない。この国では、信用できるのは自分だけである。

駅に向かっていると、ハノイ駅の裏側にも駅を見つけた。つながっているのかなと思って入ってみるが、そこはハノイB駅で、ローカル線が利用する駅のようだ。今の時間列車の出入りはなく、人はいるのだけれどのんびりしている。駅前に屋台のフォー屋を発見したので、こういうところの店ならば、ぼったくりはあっても変なことはしないだろう。勇気を持ってフォーを頼んでみた。

5Kドン(40円)とはなんと良心的なお値段。しかし、一緒に頼んだビールの方が高くて8Kドン(64円)だった。安ビールのビアホイもその店にはあったのだが、その後なかなか出会えなかった。フォー自体は、辛みあり、パクチーあり、よくあるフォーの味で満足。ちなみに、フォーには二種類あり、牛肉入りがフォー・ボー、鶏肉入りがフォー・ガー。フォー・ボー・タイというと、レア牛肉をしゃぶしゃぶにしたものが入っている。

ハノイ大教会

やっとのことで本来の駅に戻り、飲みものなどを売店で仕入れて、再度出発する。駅の売店で買う飲みものは、いつでもぼったくりは無かったように感じる。たまたまなのか、英語ができないので正直なのか、それはわからない。ハノイ大教会への道も間違え、どうも道がぐちゃぐちゃしてわかりにくい。観光客用に道案内をしていないせいでもある。結局、何から何まで、観光で訪れるような国ではないという気がする。というか、生きるので精一杯なので、観光なんかでこないでくれと言っているようだ。途中でベトナム航空の支店へ向かい、飛行機の予約を取る。銀行でよく見かける番号札制を取っており、こういうところはさすがに近代化している。

ハノイ〜フエ、フエ〜ホーチミンシティの2フライトで、$124(15,000円)だった。運賃は日本の半額くらい。外国人は購入時にパスポートが必要である。その後で、日本語のウエンディーツアーのオフィスを訪ねる。明日は世界遺産ともなったハロン湾へ行こうと思っていたのだが、英語ツアーが$20くらいのところ、船代やシーフード料理が付いているにしても、驚くべき$80(9月末までの特別料金)の料金である。

いつもなら、英語ツアーを選択し、日本語ツアーは選択の余地なしのところであるが、このたった半日でやられまくりの惨状を考えると、英語ツアーに参加してまた戦いが繰り返されるよりも、落ち着いてゆっくり観光したかった。日本語ガイドをつけると言うよりも、安心して観光できるという、ごくごくあたりまえの事を求めた次第。当たり前のことでもお金がかかる国なのだ。

ホアンキエム湖

そうこうしているうちに、ハノイで有名な水上人形劇には良い時間になっていた。ハノイではホアンキエム湖周辺が一番の繁華街で、その近くに水上人形劇場がある。18時半と20時の公演ということで、18時前のちょうど良い時間に劇場にたどり着いたのであるが、もうその時間のチケットは無いとのこと。仕方ががないので、20時のチケットを購入する。

ファーストクラス40Kドン(320円)は、セカンドクラスの倍の料金を取られるが、劇で使用される音楽のカセットテープが付いている。もはや自宅ではカセットテープを聞く機械は持っていないのだけれど。外国人なら、160円の違いでは皆ファーストに行くだろう。また、ファーストとセカンドの違いは、席が前の方か後ろの方かの違いだけである。

さて、待ち時間がかなりできてしまったので、どうしようかと思う間もなく、おばちゃんのお土産買ってくれ攻勢だ。扇子一つ20Kドン(160円)だそうだ。日本で買ったら千円くらいしそうだ。じゃぁ、二個くらい買ってやるよ、お土産も何か欲しいしね、と買ったところ、どこから湧いて出たのかおばちゃんたちに取り囲まれる。また扇子を出してきて、3つで40Kドン(320円)だって。さっきより若干安い。

扇子以外に何かないのかと聞いたら、ベトナムでよく見かける笠の置物。3つで40Kドン(320円)。それなら買う。50Kドン札を出す、お釣なくそのまま持ち逃げ。またやられたよ。それでも、まだおばちゃんたちは減るどころか増えている。このままじゃすられてもわからない。まずい状態だ。そこへ警察の車が通りかかると、雲の子散らしたようにいなくなった。

やれやれやっといなくなったかと思ったら、親分のおばちゃんだろうか、いまだにしつこくつきまとう。さらに数珠みたいなものまで買わされ、3つで10Kドンて言うから買ったのに、1つ10Kドンと途中で値を変えてくる。もういい、いらないと逃げるが、どこまでもついてくる。同じところをぐるぐるまわって、車通りの多い車道を渡ったところでやっとあきらめてくれた。10分くらいは歩き回っただろうか。

大劇場

結局、千円分くらいどっさりお土産を買わされてしまった。教訓、欲しいものがあったとしても、声をかけてきた人からは物を買ってはいけない。話を聞いたり見たりしてもいけない。反応せずに、静かにその場を立ち去ること。やっと湖のほとりで落ち着いたが、そこでも物売りが後を立たない。早々に立ち去り、落ち着いて夕食でも食べるところを探すことにした。

その途中で初めてスーパーに遭遇した。少し買い物をしてみるが、やはり安い。しかもぼったくりがない。表示価格どおりに買える喜び。日本では味わえない。100ドン(0.8円)のお釣りをもらえないのは、もうそのお札が流通していないからだろうか。その買い物の後、湖が見えるこぎれいなカフェを見つけ、ここで軽く夕食にする事にした。

またフォーでも頼もうと思ったが、ヌードル?と確認した料理は揚げ春巻きだった。まぁベトナムらしい料理だし、ビールのつまみに丁度良い。ビール2杯飲んで、料金は44Kドン(352円)。支払い時には、英語もわからなそうな女の子で、恥ずかしそうに指を立てて一生懸命4ってやっていて、44K?って言うと、そうそうって頷いて、このやりとりだけでなんだかうれしくなってしまう。今の日本ではこんな娘はいない。

日本では恥ずかしいという言葉も死語になりかけているし、完全にシステマチックになっている。心がこもっていない「ありがとうございました」、「ごゆっくりお召しあがりください」、なんて言葉はロボットがしゃべっているのと同じようなもので、心が通わなくなってしまった日本に対して、ベトナムの方がより人間味があると感じた。この先の日本はどうなってしまうのか。

40分くらいまだ時間があるが、前の公演があるせいか、待ち合い所に入ることができた。いよいよ時間になると、2階へ上がっていく。前のほうは当然外国人でしめられているが、日本人も結構入っている。最初に二曲ほど演奏だけを聞く。中国独特のなんという名は忘れたが、その音がなかなか良い。しかし、せっかくの生演奏をスピーカで増幅しなくても良いのに。

水上人形劇

その後いよいよ人形が現れる。曲にあわせて17のストーリーがあり、それぞれが面白い。操り人形なのだが、上から糸で吊すのではなく、水の中から棒で操っている。水上を人形が動きまわるので、水の動きも取り入れて、かなり見ごたえがある。これは確かに見ておいて損はない。惜しむらくは、途中で入ってきて、途中で帰った日本人!どういう感覚をしているんだか。

劇が終わってホテルへ戻ろうにも、夜遅くに歩いて帰れる距離ではない。客待ちのタクシーに聞いてみると、50Kドンだそうだ。ん?40円か安いな。それならいいよ、と快諾。しかし、よく考えてみると400円じゃないか〜。またしてもやられた。今回は自分が悪いのであるが。ちなみに、ハノイの町中でタクシーに乗るのなら、20Kドン(160円)でどこでも行ける。ホテル延泊をお願いし、本日の長い戦いの一日が終了した。


| 戻る |

【目次】
出発準備編
出発
ハノイ
ハノイ
ハロン湾
フエ
フエ
ホーチミンシティ
クチトンネル
メコンクルーズ