'09GW カンボジアとラオスへの旅 その05 - シュムリアップ

5月2日(土)
シュムリアップ(バンテアイ・スレイ, プリア・カン, アンコールワット)
Angkor Star

とりあえず、昨日のうちにアンコールワットとアンコールトムという二大目標は達成したので、今日はどうしても行きたいというところはない。歩き方を見ながら考えて、アンコールトムの北側を一通り周り、最後に午後が良いと言われるアンコールワットへ行くことにする。あと、アンコールワットの上からの写真はどこから撮ったものだろうか。昨日のプノン・バケンではなさそうだし。そこで気がついた。そうか、気球から見るとこうなるのか。

昨日のうちに、今日は9時からと言ってあったのだが、8時にホテルを出たら、昨日の兄ちゃんがもうスタンバっていた。出発までの数時間も稼ごうという事なのだろう。本当に謙虚である。ホテルで朝食を食べずに、カンボジア料理のお粥のお店に行こうと思ったら、無休と書いてあるのになんだかテーブルを片付けて集会ができるような状態になっていた。なんてこった。結局、散歩しただけでホテルに戻り、ホテルの朝食を食べる。昨日とはメニューが違うし、あのうるさくて汚い中国人団体もいなかったので、今日の朝食はゆっくり食べることが出来た。

9時にホテルを出ると、昨日の兄ちゃんが寄ってきて、今日はどこへ行く?と聞いてくる。一応決めたとおり、プリア・カンと、タ・ソム、アンコールバルーンに乗ってから、最後にまたアンコールワットに行きたいと言うと、郊外まで行かないかという。ガイドブックにあるから見てみろと。遠いので郊外まで行くつもりはなかったが、これは行ってみる価値ありそうだ。もちろん、兄ちゃんは郊外まで連れて行けばお金が多くもらえるから勧めるのはわかっている。

途中の村

そうと決まれば、郊外のバンテアイ・スレイに向けて走っていく。アンコールワット方面の道から少し外れて畑の中を原チャリが走る。昨日とは違うチェックポイントでチケットを見せると、湖が見えて来た。右に左に昨日見ていない遺跡が見えてくる。プレ・ループは、なかなか見応えありそうなので、後で行ってみてもよさそうだ。東バライを抜けると、何にもない道をひた走る。途中で通る村で、道沿いにいろいろな手作り商品を並べていて、なんかこういう風景を見るだけでも素朴さが伝わってくる。

シュムリアップから40kmというだけあって、やはり原チャリでは一時間かかった。トゥクトゥクを降りたところはかなり大きなお土産街が広がっており、途中で何度も抜かれた大型バスがたくさん停まっている。なるほど、かなり有名な観光地と言うことか。確かに、日本発のツアーではどこでも訪れるところのようだ。

バンテアイ・スレイ

ここまで見て来た寺院とはあきらかに大きさが小さい。しかし、そのきめ細やかなレリーフの数々には目を見張る。じっくり何周も見て回り、これはかなり来た甲斐があった。お金儲けのお勧めとはいえ、これは来て正解だった。ただ、ベトナム人だか中国人だか、観光客だらけで、しかも自分勝手に写真を撮りまくったりしているのが、げんなりする。

さらに、またしても遺跡保護の観点から、建物近くまで近寄れなくなっていて、東洋のモナリザといわれるデバターもいまいちよくわからなかった。ここまで肝心なところが見られないと、遺跡の修復とか保護ってなんなのだろうと思ってしまう。修復した遺跡は、実は数年前の制作だったりするわけで、そこらのモニュメントと何が違うのか、わからなくなってくる。ぼろぼろの遺跡を修復して満足する日本人、それをわざわざ見に来る日本人、遠い異国で何やってるんだろうか。

近くにこれといった見所もないので、これだけでまた一時間かけて戻っていく。途中に本当に何も見所がないのがつまらない。とりあえず次の目的地は、絶対行きたいと言った一つのタ・ソムである。行きとは違う裏道を走って、どこをどう走っているのかわからなくなった。ベトナムやインドでこんなことやられたら、かなりどきどきものだが、昨日でかなり信頼関係も出来ていたし、プノンペンでのカンボジア人の温厚さもわかっていたので、かなり安心していられた。

タ・ソム

着いたよーと言われ、無事到着したようだ。歩き方の写真を見て、タ・ソムはタ・プロームと同じく、樹に覆われた遺跡があるので選んでみた。しかし、その樹が絡まる遺跡は本当にその写真のところだけで、わざわざ行ってみるほどのものではなかった。残念。

東メボン

最初の予定では、この後アンコールトムの北側の遺跡を巡って、プリア・カンに向かうつもりだったが、行きに良いと思った東メボン、プレ・ループに行ってから、プリア・カンに行って欲しいとお願いする。え〜、それなら先に言ってくれよ〜という感じがありありだったが、そんなことは口にせず、行ってくれることになった。アジア人って言ったら、金儲けしか考えていない人ばかりで常に日々是決戦だったが、たまたまこの人がそういう人だったにせよ、カンボジア人はかなり良い人が多いなぁ〜と思った。

プレ・ループ

東メボンは、元々が東バライという池があった中に建っていた寺院で、ちょうど水面に出るように設計されていたので、今では平場に塔が立ち並ぶだけ。周りを囲む象の彫像が特徴といえるだろう。そのすぐ近くにあるプレ・ループも同じような構造であるが、ピラミッド型の高い土台の上に塔が立っているので、これがまた見晴らしが良い。これは来て良かった。

12時を過ぎたところだったので、お昼に向かう。昨日と同じ食堂に連れて行かれるかと思ったが、スラルランのある池の前の食堂に半ば強制的に連れて行かれる。外国人ばかりで賑わっていて、高い店だったら速攻で出ようと思っていたが、ぼちぼちのいつもの一品US$3(300円)くらいの店だったので、まぁいいか。本当は一品100円くらいで食べられるものだが、観光地価格だから仕方がない。今日は屋台ではなく、普通の食堂だったから、子供たちのお土産攻撃は無かった。

プリア・カン

アンコールトムを通り抜け、今日の元々の目的地であるプリアカンへ。比較的大きな寺院で、最初は仏教寺院だったのに、ヒンドゥー教に侵略され、建物に描かれた仏陀のデバターはことごとく削り取られている。入っていくと、ちょうどバイクで通りかかった兄ちゃんが、急にバイクを停めて近寄ってきた。こりゃまた押しつけガイドだなと思ったらその通り。なかなか蒔けなかったのでもうあきらめてガイドをしてもらった。

プリア・カン

ガイドがないと意外と気づかないことを教えてもらえた。男性のシンボルや、徐々に入り口を小さくすることで礼を自然とする構造とか。二階建ての建物がある事が有名であるが、その前の建物の上に登ることもできて、見晴らしが良い。かなり見応えのある寺院だった。ぐるっと一回りして、終了となると、まぁ予想通りチップを要求されるわけだが、US$3で良いかって言うと、ガイドをするのに大学で勉強しているからUS$10くらい欲しいなんてのたまう。むちゃくちゃな理由をつけるもんだな。US2$だけ追加する。それでも十分な稼ぎにになったはずだ。

これで一通り終了で、気球とアンコールワットを残すのみ。気球の乗り場に行ってもらうが、なんということか今日は飛べないという。快晴で風もないのに、上空は風があるということか。トゥクトゥクの兄ちゃんによると、ほとんど毎日飛んでないらしい。全くやる気なし。

アンコールワット

そして、再度アンコールワットへ。昨日とは違って天気が良いので、池に映るアンコールワットもきれいに見える。今日は昨日見逃した回廊をぐるっと見て回る。確かによく彫り込まれている。これがずっと全ての回廊に施されているのだからすごい。しかも、ストーリーがあるらしいので、みんな違う内容になっている。

アンコールワット

これにて一通り観光終了で、最後にオールドマーケットでも行こうと思っていたのだけれど、もう一つある夕陽ポイントへ行かないかという。どこだよそれって聞いてみると、トンレサップ湖そうだ。今16時を過ぎたところだが、どうせ時間があまっているので行ってみることにする。ただ、またしても遠いところなので、一時間くらいかかるんではなかろうか。

シュムリアップの街を通り抜け、さらに南へ向かう。やはり、そう簡単には到着しない。道もだんだん悪くなってきたなと思ったら、舗装して無いどころじゃなくて、煉瓦が置かれた下地むき出し状態の道が続く。車でも大変な道だと思うが、トゥクトゥクではとてつもなく大変。止まりそうになりながら、必死に進んでくれるが、振動がものすごい。

そんな悪路を通り抜けてもまだまだ遠い。すると、夕方お得意のスコールが降ってきた。こんなときのためにトゥクトゥクで良かったよ。でも、屋根が関係ないくらい斜めに吹き込んでくるので、かなりすごい雨だ。17時半にやっとのことで到着した。スコールがまだすごいが、晴れてくれれば夕陽には良い時間だ。

トンレサップ湖

しかし、このトンレサップ湖クルーズは一時間半の長丁場。水上家屋や学校なんかも巡るそうだ。まだ営業時間内とはいえ、US$40で行ってやるよとのこと。おぃおぃ、US$15じゃないのかよ。他に乗船する人がいないので、この値段になるらしい。トゥクトゥクの兄ちゃんもせっかく来たから行ってきたらどうだと勧めるが、これから行っても30分もしたら日が沈むし、帰ってきたら真っ暗だ。これはあきらめざるを得ないだろう。

ガソリン売り

それよりは、近くにある遺跡を観に行った方が良い。元々トンレサップ湖に来るときに一緒に行くポイントであるが、湖観光が無い今、このまま帰るのはもったいない。出発するころにはスコールもやんでいて、夕陽がきれいに見えていた。これなら山の上にある遺跡からも夕陽もきれいに見えるだろう。遺跡の入り口までは5分くらいであるが、その途中でなぜか停まる。と思ったら、なんとガソリンスタンドでもないのに給油だ。あちこちで瓶に入れて売っていたのはガソリンだったか。危険物取り扱いとか全く気にしない。さすがカンボジア、やることがすごい。

景色

トゥクトゥクでは丘の麓までしか行ってくれない。階段を一気に駆け上がり、山道を登っていく。その途中の景色も素晴らしい。雨期に入ると水に沈むようだが、まだ水は上がってきていない。なるほど、この辺りの家は皆かさ上げしてたてられるのはそのせいか。何とか日没までに頂上にたどり着けた。やれやれ。寺院をぐるりと回っていると、お坊さんがDonation(寄付)はないのかと言われる。普段はお賽銭さえあげないのに、US$1をあげる。US$1でもここではかなりの高額だ。

プノン・クロム

さて、山を下ろうかなと思って気がついた。歩き方に載っていた遺跡らしいものがなかったよなぁ。なんと本当の目的地であるプノン・クロムはもう一歩丘を上がったところにあった。まじかよ。まだなんとか明かりがある状態だったので、写真を撮ることが出来た。山を下りたときには、すっかり暗くなっていた。

またひたすら一時間くらい戻っていくわけだが、来たときの劣悪な煉瓦道は避けて、裏道を通ってくれた。地元をよく知っている運ちゃんだ。最後はオールドマーケットに降ろしてくれと言ってあったが、ここまで遅くなったら一度ホテルに戻りたい。ホテルに戻ったら、もう19時を過ぎていた。さて、今日は北に南にとてつもなく走ったので、絶対高額を要求されると思っていたが、昨日と同じUS$15で良いか?って一応聞いてみた。案の定、遠くに二回行ったからUS$10ずつでUS$35(3,500円)だと。こりゃまた高いなぁ。

US$30で良いか?って聞いたら、昨日US$5多めにもらったから良いよそれでとびっくりするほどの親切ぶり。本当にいい人に当たって良かった。明日は空港まで行くだけだが、乗ってけと時間を指定される。最後の最後までぬかりない。

オールドマーケットに行く予定を変更して、ナイトマーケットに行くことにする。歩いても行ける距離だが、ホテルの前のトゥクトゥクに聞いてみると、US2$だなんていう。US$1でも高いくらいだと思うのに。じゃぁ、US$1でチップUS$1でどうだなんて、同じじゃないかよ。なんだかこんな冗談を言ったりして、わきあいあいなのが楽しかったりする。結局US$1で行ってくれた。

ナイトマーケット

ナイトマーケットは夕方から開くマーケットで、完全に観光客向けのお土産品を扱うマーケットだ。外国人観光客がたくさん歩いているというか地元の人なんかいないので、基本的にぼったくりばかりだが、元々が安すぎるので、ぼったくられても気づかない。見ているかぎり、ワンダラーと言って寄ってきた子供たちの商品の方が断然安い。絵葉書なんか子供たちから買えば10枚でUS$1なのに、一枚US$1で売っている。なので、遺跡巡り中にお土産屋などを回った後、最後にマーケットで欲しいものがあれば買ったらいい。しかも、大概言い値の半値以下になる。

いらないっていうのに、しっかりまたTシャツにカンボジアシルクなんかを買わされまくり。もう、持って帰るだけでも大変な量だよ。びっくりしたのはシルバーの小物入れが最初US$15だったのがUS$4とか言われて強制的に買わされたものが、空港ではブロンズ(銅)としてUS$4で売っていた。まぁ、これをだまされたと思うのか、買い物を楽しんだと思うのかは感じ方次第。こういうくだらない買い物ができるのも、アジアならではの楽しみである。

マーケットを出て夕食を食べる事にする。すぐ近くに屋台が並んでいたので近くを歩いていたら、英語メニューですぐに捕まる。一食US$1かUS$1.25で、ヌードルかライス、豚か鶏か牛、一緒に炒める野菜の違いで30種類くらいある。野菜炒めヌードルとビールを頼むとどこかで見たような光景で、近くの屋台にビールを買いに行っていた。基本的に、カンボジア料理といってこれといったものはなくて、肉野菜炒めがどこでも食べられる料理で、屋台料理の定番である。

メニューを見ていたら、ジンジャー炒めなるものが。ジンジャーってショウガでしょ。それをメイン料理にするとは。すると、予想どおりなショウガだらけ。なかなかすごい料理だった。屋台料理は一皿が少なめなので、もう一皿頼んだ。缶ビール二本飲んでUS$5でお釣りがくるのだから、こんなに安上がりな夕食はない。昨日の夕食が屋台の食事5回分。

帰りはコンビニがあったなぁと帰りながら店を探す。ホテルに近いところにまさにコンビニといった面持ちの店発見。値段を見てあまりの安さに倒れそうになる。アンコールビールがUS$0.6(60円)、水はUS$0.2(20円)などなど。US$0.5(50円)でも儲けが出るわけだよな。ツアー参加者なら、こういうところで大きめの水を購入し、500mlのペットボトルに移したものを手持ちに、残りをバスに置くようにすれば、あっちこっちで観光地価格の水を買わなくて済む。カンボジアのお菓子でもお土産にと思ったが、すべてが輸入物だった。

ホテルのすぐ隣にモールのようなものがあるなと思って入ってみると、ここはまさに別世界だった。ここがカンボジアですかってくらい、それぞれの店構えが先進国並だし、スーパーもあって、ホテルのビールなんか飲まないで、ここまで買いにくれば良かった。カンボジアといってもシュムリアップの町だけは完全に別世界。外貨を稼ぎまくる特殊な町になっていることがわかった。

すなわち、日本人が持つカンボジアのイメージとは全く異なり、ホテルは一泊一万円も出せば超豪華ホテルだし、車貸し切りでも運転手付きで高々3千円だし、食事の場所も選べば日本のレストラン並の設備も期待できる。激安旅を目指す人にも衛生面は全く問題ないし、夜出歩いてもそうそう危険度が高そうでもない。東南アジアで一番楽しめる町だと思った。


| 戻る |

【目次】
出発準備編
出発
プノンペン
シュムリアップ
シュムリアップ
ビエンチャン
ビエンチャン
バンコク
帰国