'00夏 のんびり沖縄離島の旅 その5 - 西表島

8月18日(金)
鳩間島 郵便船 西表島上原港
西表島(星砂の浜)
みどり荘YH

昨日の夜は、最終的には宿に3時過ぎに戻った。昼寝をしている分、7時に起きても快調である。朝食を食べて、今日こそはいよいよ鳩間島ともお別れである。相変わらず宿でごろごろしていると、子供達が忙しく働いており、ごろごろしているのも悪いなぁなんて思ってしまう。それほど、親近感のわくところであった。

鳩間港

ぶらぶら港の周りを散歩したりして時間をつぶす。そういえば、昔の井戸の跡に行っていなかったので、行ってみることに。西表島からの水道管がなかった頃は、唯一の水源であったから、水の順番待ちをしながら、学生は勉強していたという。もはや最近はこの井戸も枯れてしまっているが、この夏の暑いさなかでも洞窟の中はひんやりしていた。

11時頃には桟橋で郵便船が来るのを待ちかまえる。体験学習の子供達が、桟橋のところで飛び込みをして遊んでいた。郵便船は、少し遅れ気味でやってきた。一人女性が乗っているが、どうも宿泊するような荷物を持っていない。そして、おじさんと一緒に車に乗っていった。

戻ってくるまで、船に乗って待つことにする。もう一人、これから西表島に向かう女性がいた。この人は何度も八重山を巡り、「この旅はいつまでですか?」「お金がつきるまで」と言いたい事を夢見て毎年訪れていたが、ついに仕事を辞めて4ヶ月沖縄本島の離島から、宮古諸島、八重山諸島と回ってきたそうだ。彼女曰く、「最近の離島ブームで、猫も杓子も八重山へくるようになった。そして、本島や本土の方に行っていた若者が戻ってきて、観光業を始めるものだから、どこにでも観光客が現れる。その点、沖縄本島の離島は、若い者は沖縄本島に行ったきりで帰ってこないので、沖縄本島の離島の方が、おじい、おばあしかいないのんびりした雰囲気が残っている」、とのこと。確かに、近年の八重山の観光地化はめざましい。

通常であれば、おじさんは数分で帰ってくるはずが、こんな話が長々できてしまうほど、待てど暮らせど帰ってこない。そして、1時間近くたった12時頃になって、ようやく戻ってきた。しかも女性もまだ車に乗っている。どうやら、彼女はおじさんの知り合いで、鳩間島観光をしてきたらしい。相変わらず、アバウトさ満載である。

バラス島

そして、郵便船はやっと出航するが、西表島の上原港へ向かっているはずが、なんとバラス島に向かうではないか。バラス島は鳩間島と西表島の間にある干潮時にだけ現れる島で、すべて珊瑚の死骸でできた島。おじさんの知り合いの女性?が乗っていたおかげで、はからずもバラス島に上陸を果たしてしまった。運が良かったとしか言いようがない。思ったよりも広い島だった。

上原港に到着し、いつもの定宿みどり荘へ行く。これにて、今回の八重山らしい旅は終了した・・・といっても過言ではないくらい、このあと西表島の観光地化を目の当たりにすることになる。荷物を置いて、みどり荘の前の新八食堂でソーキそばを食べる。これといってうまい味ではないが、あまりにも暑いので、近くてクーラーのきいた店で食べたくなってしまったせい。

お昼を食べて、スーパーで買い物をしたら、星砂の浜まで歩いて行く。ここ上原から星砂の浜までは、1時間くらい。半日どこかへ行こうとすると、ここへ行って時間をつぶすのが定番となっている。それにしても、車の交通量が多い。鳩間島は車なんて数えるほどだし、まして走っている姿をあまり見かけないので、久々に文明のあるところに来たという感じがした。東京の車の混雑に比べたら、はるかに走っている車は少ないが、数年前に比べれば、次から次から走り抜けて行く車の多さに、驚かずにはいられなかった。

星砂の浜

そして、星砂の浜に到着。鳩間島が見える珊瑚がきれいな海で、星の砂が取れるということからこの名がついているが、星の砂は今ではほとんどない。それでも、観光バスが着くたびに浜に人があふれ出し、我先に星の砂を取ろうという人たちを見ることができる。

さて、浜に降りてみてびっくり仰天した。お盆の期間ということもあり、ある程度の人の多さは覚悟していたが、すごいたくさん人がいる。家族連れはもとより、若いおねーちゃん達もたくさんいる。シュノーケル道具に加えて、カヌーや海で遊ぶ道具もレンタルしている。おばあがパラソルの下で土産物まで売っている。

そしてなにより変わったのは、バックミュージックがかかっていること。あの、古いスピーカーから割れるような音が流れているのを聞くと、ぼろくて簡易な作りの海の家を思い出してしまう。沖縄まで来て海の家を思い出してしまうとは、まったく興ざめ。鳩間島できれいな海を見てきたせいもあるが、海自体もすごい濁っていて、離島ブームに西表島がもっとも注目を集めていることが実感させられた。少しだけ泳いでいつものところで水シャワーを浴び、日に数本しかないバスで戻ってくる。お客さんどこまで?みどり荘まで。と言うと、しっかりみどり荘の前で降ろしてくれるのは、さすが田舎のバスである。

本日の活動は、これにて終了。今日はどれくらいの人が泊まっているかと思いきや、YHには常連さんを入れても、十人くらいしかいないようだ。そんな中、食事を終えて部屋に戻ってみると、まだ食事をしていない大学生と思われる二人連れがいた。もう食事できますよと言うと、人がまだいるからもう少し後にします。なんて言うではないか。これには愕然としてしまった。最近の若者事情を反映しているかのようだった。YHでの食事は、食堂で一緒にとるのが基本。そこで会話がはすむのだし、わざわざ別に食べるのなら、スーパーで買ってきた方が断然安いし、第一もっと安い宿はたくさんある。

二人は完全に二人の世界に入っていて、他の人と話をするようなことはまったくなかった。と言っても、食堂兼談話室には毎年訪れる常連さんしかいなくて、YHで育って結婚しても夫婦でいまだに使っている人たちや、前述のこもってしまう人たちなどしかいなくなってしまったようだ。最近の若い人たちは、ほとんど海外へ出てしまっているので、こんな寂しい状況に拍車をかけているのかもしれない。


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