'00夏 のんびり沖縄離島の旅 その2 - 鳩間島

8月15日(火)
石垣島離島桟橋9:30 八重山観光フェリー 11:30鳩間島
鳩間島(鳩間中森、島仲浜シュノーケル)
民宿星空荘

昨日コンビニで買っておいたおにぎりを朝食とする。2個分はあろうかという爆弾と名付けられたおにぎりは、こちらの炊き込みご飯であるジューシーがぎっしり詰まっており、一つでもお腹一杯だ。ホテルはのんびり出発する。鳩間島へ向かう定期航路は、週に3便火木土しかないフェリーだけ。これが唯一の公共交通機関で、このフェリーは、鳩間島を経由して西表島へ向かう。こんなに不便なのは、それもそのはず、周囲4km弱、人口50人程度の小さな小さな島で、当然観光化はされていない、海しか何もない島である。

離島桟橋

今回は石垣島に到着する飛行機が月曜日となったため、運良く翌日のフェリーに乗ることができたのだった。しかも、ここ数日は台風の心配がほとんどなさそう。交通が不便なところであるから、こういうところも気にするところである。

フェリーには、西表島へ向かう車に加えて、鳩間島向けの荷物コンテナが載っている。このコンテナには、事前に頼んでおいた鳩間島向けの荷物が載っており、鳩間島でこのコンテナをおろし、空のコンテナを回収する方法をとっている。そして島の人は、頼んだものをそのコンテナに好きな時間に取りに行くことができるのである。そのコンテナの積み卸しを行うフォークリフトも一緒にフェリーに載っている。

フェリーは、波照間航路と同じく遠い桟橋から出発するのだろうなと思ったら、以外にもすぐ近くだった。天候は快晴。毎度おなじみ、各離島へ向かう高速フェリーの出発競争を尻目に、のんびりフェリーは出航する。高速船なら40分くらいのところ、フェリーでは2時間もかかる。のんびり各島影を眺めながらの船旅である。今日は乗客が多く、10名くらい乗っている。そのほとんどが鳩間島へ行くのであろう。

それで多いのかと思うなかれ。鳩間島には民宿が3件しかなく、すべてあわせても30人くらいしか収容できないのだ。昨日宿の予約をしたところ、一軒目はいっぱいで断られてしまったくらいだから、かなり人がいるものと思われた。船が進むにつれ、快晴だった空がときおりぱらぱらとスコールにみまわれたが、西表島のヒナイサーラの滝が見えてきたら、鳩間島に到着である。

鳩間島

久しぶりの鳩間島に到着した。相変わらず港の中まで、美しいエメラルドグリーンに海が輝いている。集落はものの5分で歩けてしまう広さなので、どこへ行くにも徒歩で十分。去年も泊まった民宿あおぞら荘へ向かう。鳩間島は、過疎化で小中学校が無くなってしまうことをさけるため、里子を受け入れている。ここの民宿も4人の子供が暮らしており、家が手狭になったのか、去年に比べてすこし建て増しされていた。

昼食はどうする?と聞かれ、食べるところもないから昼食を頂く。観光客がほとんど訪れない島であるから、食堂などあるはずもなく、どの宿も1泊3食が基本になっている。昼食を待っていると、新たな客が一人現れた。西表島でここ鳩間島の話を聞き、石垣島を経由してやってきた大学生だった。もう一つの宿は満員といわれたのに、今日のこの宿の客は二人だけである。

昼食を食べたら、海へと出かける。島の中央にある鳩間中森、灯台を抜ければ、すぐに島の北側、島仲浜に出る。周囲4kmしかなければ、当然島の直径は1kmちょっとしかない。10人ほど人がいるのを見て、やはり今日この島は混んでいるようだ。

島仲浜

ここはシュノーケルポイントであると同時に、星の砂がたくさんとれる場所でもある。各島で販売している星の砂は、全てここ鳩間島産であり、竹富島の星砂の浜にいたっては、毎年春になるとここで取れた星の砂をまいているくらいである。

今日はお昼過ぎが干潮のようで、すっかり水が引いていた。完全にリーフの際まで歩いていける。去年は、満潮時であったうえ、台風の影響で波が高く、リーフの外に出ることができなかった。しかし、今年は全く問題ない。リーフの際では、おだやかな波がうちよせている。ちなみにリーフとは、浅めの珊瑚礁で、干潮時には膝下程度の水深になる。しかし、リーフの端まで来ると、急に10m以上の深い海になる。特に、鳩間島は隆起珊瑚礁の上にある島なので、島をぐるりとリーフが覆っている。

リーフの外に出てみると、やはり一昨年の海水が高温になって珊瑚が死んでしまう白化現象によって、青珊瑚の群落は全く見られなくなっていた。しかし、完全に死んでしまったわけではなく、青珊瑚の小さな芽が出てきていた。あと10年もすれば、りっぱになるに違いない。ずいぶんと気の長い話であるが。深いところのテーブル珊瑚は比較的残っていて、きれいな花がさいたような状態であった。大きめの魚も見ることができ、同宿の人はここでマンタを見かけたらしい。八重山諸島の中で、無料で行くことのできる一番素晴らしい珊瑚礁であろう。

3時間くらい海で遊んで、星の砂をペットボトルいっぱいに詰め込んで、島をぐるりと回る周回道路で宿へ戻る。島半周しても、2kmほどだから、30分程度で宿まで帰れてしまう。18時を過ぎたら、島で唯一の売店に行ってみる。18時〜20時くらいという、なんともアバウトな営業時間で変わった売店であるが、基本的に島の人たちは直接石垣島で買い物をしてくるので、急な買い物や旅人のためだけの売店なのかもしれない。売っている物は、カップラーメン、缶詰、飲み物、日用雑貨だけである。その中に、鳩間島のTシャツを発見。デザインがいまいちだったが、ここでしか買えないというとつい買いたくなってしまう。しかし、ビールを買うためだけに小銭しか持ってきていなかったから、明日買うことにした。

宿に戻ってのんびりして、夕食を食べたら、おばあと一緒になってテレビを見る。なんだか旅行中というより、田舎に帰ってきたという感じで、すっかりくつろいでしまった。そんなおり、同宿の大学生が桟橋で宴会をやっているから来ないかという。海から宿に早めに帰ってきたときに、宿にたまたま遊びに来ていた島の小学校の先生と会って、宴会に誘われた模様。桟橋へ行ってみると、数名集まっていた。

石垣島からヨットで遊びに来ていたおじさんを中心に、島の小学校の先生、たまたま夕涼みをしていた別の民宿の方など、皆初めて会った人たちだらけの宴会であった。つまみはほとんど島で取れた物。今日取ってきた貝をゆでただけの物は、全く味付けしていなくてもすごくおいしい。貝をコンクリートに打ち付けて、蓋がゆるんだところでするっと抜くという、なんとも適当な食べ方もまた面白い。泡盛を何度お土産にして持って帰っても、うまいとは感じられなかったが、こういう宴会の時でこそ泡盛はうまく感じる。こちらでは島酒と呼んでおり、宴会には欠かせない飲み物である。

宴もたけなわになってくると、先生が三線を引き始めた。レッスンを受けているだけに、かなりの腕前だ。ヨットのおじさんは踊り始めたが、踊りというより、月に向かって吠えていた。外灯などまったくない桟橋での宴会であったが、ほとんど満月に近い月明かりが非常に明るく、対面の人の顔の表情まではわからないものの、全く不自由しない。月明かりがこんなに明るいものだと感じることも、都会ではできないことだなと感じた。

そして、22時をすぎたくらいでおひらきとなったが、先生の家に行って同宿の大学生と3人だけの二次会となった。島の人は、滅多に新しい人と出会うことも少ないし、なにより三線を引きたいのであろう。結局、夜中の2時まで宴会は続いたのであった。


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