'98冬 冬の韓国・食と鉄道の旅 その04 - 移動日

12月29日(火)
慶州10:35 Semaul52 14:49Seoul
ソウル(南大門市場)
清凉里23:00 Mugunghwa319

今日は移動日で、セマウル号でソウルまで行く。慶州からソウルまで行くセマウル号は、一日二本。ほとんど選択の余地無く、10時半のセマウル号でソウルを目指すことになる。そのため、宿はのんびりと出発した。途中のコンビニで朝食を買い込み、駅の待合室で朝食とする。パンと飲み物で、3,000won(300円)位かんたんに突破してしまうから、食堂で定食を食べるのと何ら値段の差はなかったりもする。

ここから、日韓共同切符の続きとなる。日韓共同切符には釜山から慶州の切符は含まれていないため、韓国内では初の利用である。昨日は気がつかなかったが、慶州駅舎がきれいになっていた。特に駅名板が毛筆体のようになっていたのでかなり変わった印象を受ける。古都への玄関駅として、イメージチェンジを図ったのだろうが、実際はホームが一面だけの小さなローカル駅である。

慶州駅

セマウル号は客車は同じでも、ディーゼル機関車が牽引するタイプと、フランスのTGVのように、先頭と最後尾に流線型の動力車を配置したプッシュプル形態がある。釜山〜ソウル路線以外はローカル線扱いで、ディーゼル機関車牽引のタイプが多いが、今回のセマウル号は流線型のプッシュプルタイプで、食堂車も連結していた。やはり、この方がセマウル号という気がする。

列車に乗り込み程なくすると、女性車掌が検札を行っていた。駅係員の制服とはまた違っていて、新幹線のぞみ号のパーサーのようなものだろうか。アンニョンハセヨ、カムサハムニダ、と挨拶しながら検察を行っていたが、日韓共同切符を見せると、Thank you になった。やはり、こんな切符を持っていると、韓国人には見られないか。

それより驚いたのが、テープによる車内案内だ。韓国語、英語に続いて日本語案内まで続く。日本人が多く訪れる慶州〜ソウル路線だからかと思ったが、他のどの路線でもこの日本語案内は広まっていた。セマウル号は普通席でも日本のグリーン車並に快適で、寝たり起きたりしながらソウル到着を待つ。そして、朝食が遅かったこともあり、お昼を随分過ぎてから食堂車へ行く。

弁当

席についたとたん、係りのお兄さんが、うんちゃらかんちゃらと韓国語でしゃべってきた。最後に聞こえたのはオプソヨ。”〜はありません”だ。とすると、今までメニューを指しながらしゃべっていたのは品切れと言うことか。確認してみるとやはりないらしい。韓国らしい食べ物は全て出払い、重箱に入ったお弁当のような物しかなかったが、それでも写真入りのメニューなので、見た感じ辛そうなものを選択した。

頼んだ料理はたこの辛みあえ。どうやらナクチボックムらしい。ナクチはイイダコ、ボックムは炒め物。辛い料理の一つとして挙げられている物である。ミョン(麺)、パプ(飯)、タン(スープ)、チゲ(鍋)など、最後の文字をハングルで覚えておくと、どんな物か想像できるので、ボックム(炒め物)も、料理を選ぶレパートリーとして、今後に利用できそうだ。辛さで最後はヒーヒー言いながらも何とか食べきり席に戻った。

そして、やっとソウル駅に到着した。日韓共同切符はもちろん記念に頂き、まずは本日の集合場所である大祐旅館へ。今回、またしてもソウルで宴会プランがあり、今日は5人が集合する。今回はさらにマニアックな集合場所で、いつも利用している宿で集合としたのだ。しかも、今日は友人は泊まるが、自分は泊まらないときている。こんなことをやってのけられるのも、この宿は日本語が通じるというのが大きい。

宿に荷物を置かせてもらい、まずは帰りの航空券を買いに行く。宿に近いJALカウンターで、成田までの往復航空券を購入した。対応は日本人だったので、日本語は問題ない。往復でも割引はつかないが、料金は片道たったの23,000円。日本で購入すると、正規購入は四万円を越える。韓国で買うと正式に購入してもこの値段なのだから、格安航空券でも元が取れることが十分にわかる。

南大門

そのあとはぶらぶら市内見物をする。前回は修復中であった南大門もきれいにその姿を現していた。南大門市場では、バナナのたたき売りのような感じでどれもこれも破格値で販売していた。まさしくアメ横さながらで、買い物していない方が変に見えてしまうくらい。買い物目的できたような人たちにはたまらない光景であろう。そして、ぶらぶらしているうちに、ソウル駅まで戻ってきた。

駅では、前回入場できなかった鉄道博物館に入ってみる。今回は入場料は値上がりしていて、600won(60円)だった。よくある鉄道博物館なのだが、昔使用していた物から始まり、国鉄の歴史、未来の鉄道など、ハングルが読めなくても十分に楽しめる。ソウルと釜山を結ぶ高速列車の実現はまだまだ先のようであるが、韓国の鉄道の将来には夢があっていいなと思う。

じっくり見て回っていたら、すっかり閉館時間まで居座ってしまい、いつのまにか回りには誰もいなくなっていた。宿に戻ると、無事に5人は合流できた。今日の夕食はカルビ焼肉ということは決まっていたが、どこへ行くかが決まっていない。この宴会には参加しないが、パックツアーで韓国に来ている友人夫妻の情報によると、去年行った明洞の焼き肉は味が落ちた、ある本に載っていたところがうまかったという話。

それならばと、地下鉄を乗り継ぎ30分以上かけてそのお店へ。かなりお偉いさんが来る店ということで、黒塗りの車が駐車場にずらり。日本人もいることはいたが、それほど多くない様子。メニューは、肉類については骨付きカルビの他に3種類しかないが、一通り頼んで、ばんばん焼いてもらう。こちらは片言の韓国語、向こうは片言の日本語で、相変わらずむちゃくちゃな会話である。

韓国の焼き肉屋では、いくつかのテーブルごとにおばさんがついていて、肉の焼け具合を見計らって、はさみで切ってくれる。どんどん肉を置いて、焼けるとすぐに端に寄せて次の肉を投入し、まったくもって手際がよい。この手際の良さにつられて、次々に食べてしまうのだが、骨付きカルビはやはりうまい。2人前が22,000won(2,200円)もするだけはある。タレが違うだけでなく、肉自体に味付けがされているようである。

手際の良さに圧倒されて、またしても飲んだ食べたの大宴会は終了した。それでも、去年に比べると価格が安いのは、明洞という場所ではないからか。一人当たり30,000won(3,000円)くらいだった。今日の宿は夜行列車なので、そのまま地下鉄で清凉里(チョンニャンニ)駅へ向かう。大きい荷物は宿に置いてきたので、すでに日帰り荷物になっている。列車の出発時間は23時だから、まだ時間に余裕がある。

寝台車

韓国の東側に向かう列車は、ほとんどこの清凉里駅からの出発となっており、江陵行きの韓国一長距離を走る夜行列車ムグンファ号も、この駅から出発する。出発までの時間まで駅構内で待ち、出発10分前になってやっと改札が開始されたが、いつの間にかすごい人になっていた。夜のちょっと暗めの構内は、釧路駅を彷彿させた。これから今は無き急行まりもに乗り込むような気持ちになる。今日取っておいた指定券は寝台車であるが、日本のB寝台とは異なり、線路に沿って通路を真ん中に寝台が並んでいる。開放A寝台と同じといえば、わかる人にはわかるだろう。さらに、日本よりも線路幅が広いため、寝台の横幅が非常に広くて、快適である。

たった一両しかない寝台車であるが、半分くらいしか席は埋まっていない。しかし、座席の方はほぼ満席だった。寝台料金が運賃と同じ料金では、なかなか乗る人は少ないのだろう。ちなみに、清凉里〜江陵間のムグンファ号の寝台料金を含めた運賃は、上段は15,100won(1,510円)で、下段は20,400won(2,040円)である。上段が若干安いのはどこの国も同じである。

列車は定刻に清凉里駅を出発したが、ソウル近郊は路盤が悪いらしく、振動が激しくて寝られやしない。しかも、暖房が入りすぎて、暑くて仕方がない。暖房の風が通路側のカーテンの内側に入ってきているようなので、カーテンをベッドの上にあげておくと、熱い風が入ってこなくなった。これは、冬の下段寝台車利用時のテクニックになるかもしれない。


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【目次】
出発
釜山
慶州
移動日
江陵
帰国