'98冬 冬の韓国・食と鉄道の旅 その02 - 釜山

12月27日(日)
関釜フェリー 8:30釜山
釜山(太宗台, 海雲台, チャガルチ市場)
ソウル荘旅館

冬の日本海を覚悟していたものの、新造船のためか揺れはほとんどなく、快適なまま釜山港に到着した。入国審査を行って税関へ向かうと、今回の税関申告書は日本語になっていた。総額$400以上の物品を持っていたら、申告しなければならないということを今回初めて知る。だが、当然申告する物なしで通過した。本当は、カメラだけでも$1,000は越えているのだが。

ちなみに、ビデオカメラだと申告が必須だった。税関を出たら、前回の経験から即出口へ向かう。中の両替所は長蛇の列になっていたが、やはり外の両替所は誰もいない。現金五万円が五十万+少々wonに。1万won札は50枚が束ねられて、すっかり大金持ち気分。今回は気分だけでなく、本当に交換し過ぎだった。今回のレートは100円=1,004wonで、0を一つ取ればよいだけなので実に計算がしやすい。

すっかり慣れた釜山の町で、前回も泊まったソウル荘旅館へ。日本語が夫婦そろって達者で問題なく、大きな荷物をおいて釜山駅へ。明日の釜山から慶州、後日の寝台車、帰りの列車と一気に3枚の切符を購入する。日本同様にオンラインが構築されているので、どこの駅でも全ての列車の予約を取ることができる。相変わらず乗車券は安いが、寝台車が乗車券込みで三千円とは破格値である。

釜山の駅前でバスを拾って、太宗台(テジョンデ)へ向かう。前回来たときは市内バスに乗っていなかったので、今回が初乗車。系統番号が書いてあるので、行き先に問題はないが、毎回値上がっているバスの料金がくせ者である。しかも、乗ったバスには料金の種類が6種類書かれてある。一番上に書いてあるのが大人と思われるが、なぜ2種類あるのだろうか?

運転手に、オルマエヨ?(いくら?)と聞いてみると、オーペクwonといって、指を5本出した。500won(50円)を入れ、席に着いてから料金表に書いてあったハングルを解読してみると、現金520won、トークン500wonとなっていた。運転手はめんどくさくて、500wonで良いとしたのだろうか?何にしても、ちょっとだけ得をした。たった2円であるが。

バスは30分ほど走って、どこやらバスターミナルに到着した。案内板も何もなく、どこなんだここは?という状態であったが、韓国人たちがぞろぞろと同じ方向に歩いて行く。皆に着いていくと屋台が並んでいて、さらにはその先にゲートが見えてきた。そのゲートから先が、太宗台の入り口らしい。屋台でフライドポテトのような物を売っており、試しに一つ購入してみた。

ビニール袋にあふれるほど詰め込んでイーチョンwon(200円)。通常100円のところ、山盛り追加して倍の値段にさせられた感が強い。ここで戦えないのが、まだまだハングル力の弱いところ。このお味はというと、まさに”おさつスナック”だった。サツマイモを細く切って揚げただけ。簡単に作れるだけあって、どこの屋台でも売っている。韓国人もよく購入していたので、かなりポピュラーなおやつなのかもしれない。

灯台

入場料を払って少し坂を上ると、遊園地などによくある先頭が汽車の形になっている乗り物があった。これが循環バスだろうか?まさに観光地という気がする。展望台まで片道2kmで歩けない距離ではないが、この汽車ぽっぽは乗り放題1,000won(100円)ということなので乗ることにした。寺やら展望台やら見所がたくさんあるようだが、灯台と展望台だけ行くことにした。汽車もといこのバスは、見所ごとに停車していくのであるが、バス停など無いし、灯台はバスを降りた場所から全く見えないので正しいバス停で降りたのか、少々不安。しかし道を下っていくと、白亜の灯台が現れた。断崖絶壁、遠くに海雲台、なかなか良い景色のところである。しばらくのんびりした時間を過ごす。

太宗台

次に展望台にも行ってみたが、灯台ほど展望は良くない。さっさと切り上げ、入り口に戻ってきた。今日は日曜なので、お昼を過ぎて韓国人観光客がどんどん訪れていた。そんな中適当な食堂に入り、早速韓国料理を食べることにした。韓国らしい料理というとやはりチゲ。その中でもキムチが入った一面真っ赤の辛い鍋、キムチチゲである。

銀の器のご飯に、その汁をかけて食べる。何でもねこまんまにしてしまうのが、韓国風の食べ方である。ここの店のキムチチゲは特に辛くて、韓国最初にして口の中がヒーヒー状態だった。後からじわじわくる辛み、これこそ韓国の料理という感じがする。さらに漬物のお皿が釜山らしく6皿も並んでおり、これで3,000won(300円)とは、やはり韓国の物価は安い。

昼食後は、同じ系統のバスに乗って、釜山駅まで戻ってくる。次はどこへ行こうかと思案中に、ちょうど海雲台(ヘウンデ)方面の座席バスが目の前に停車した。それならば、とバスに乗り込み海雲台へ向かうことにした。そのバスは座席バスだったので、1,000won(100円)も取られてしまった。座席バスと市内バスの違いは、観光バスと普通の路線バスという車体が違うだけである。

海雲台駅

バスは混雑した道を進み、30分ぐらい走り通した。外の風景を見ていると、国鉄の海雲台駅が急に視界に飛び込んできた。このバスは、海雲台行きではなく海雲台経由でどこかの町行きなので、適当なところで降りなければならない。ボタンを押して、すぐさま下車した。何とか駅の目の前に降りられて、自分の今いる位置は確認できた。そこから海岸までは徒歩10分ほどである。

海岸に出てみると、何だこの人出は。寒くて泳げもしないのに、人だらけ。しかも、カップルだらけだ。それもそのはず、温泉あり、きれいな海岸あり、海岸沿いにホテルが建ち並ぶとなれば、日本でいうところの熱海そのもの。ここも、新婚旅行のメッカで、新婚列車などといって、慶州から海雲台まで特別列車を走らせるプランを宣伝しているくらい、メジャーなところなのである。

海雲台に何しに来たかといっても、さして目的があるわけでもなく、屋台は高いといわれていたので、冷やかす程度。海雲台がどんなところか雰囲気だけつかみ、海雲台駅へ戻ってきたら、ちょうど釜山行きのトンイル号があった。というか、ちょうど良い時間の列車を調査済み。時間を合わせて駅に来たのだ。バスで1,000wonのところ、鈍行列車で1,100won。列車の方が10円割高。やっぱり列車の方が高い。

海雲台

海雲台と釜山間は新型ディーゼル車が導入されているが、これから乗車するのは、慶州より遠くから来た客車列車である。全車指定席だが乗車距離が短いと空いてる席に座る事になる。トンイル号は車体も古く振動が激しいので、旧型車両に乗っている気分になれる。釜山駅に着くと、いつものごとくイゴルチュセヨ(これをください)で、硬券の乗車券を頂く。すっかり切符をもらうのにも慣れた。

まだ暗くなるには時間があるので、地下鉄に乗って、チャガルチ市場を冷やかして回った。なぜ日本人とばれてしまうのか、1/3は日本語で客引きされてしまう。韓国語で反応しないと、日本語に切り替えるしたたかなおばちゃんもいたり、歩いているだけでも面白い。魚がたくさん並んでいるが、値段が全く書いていないので、交渉次第というところなのだろう。

そのまま歩いて、国際市場へ向かう。適当な屋台で足を止め、オルマエヨ?(いくら?)と言って、値段を聞いては食べ歩く。いろいろ回っていると、おばちゃんもしたたかなもので、1個でいいところを数個も袋に入れてくる。もちろん料金はその分高くなっている。屋台のアジュモニ(おばさん)には、まだまだ勝てない。マンジュウとハングルで書かれたその物は、見た感じは肉まん、でも中身は餃子という物だった。

すっかり屋台でおなか一杯になり、徒歩で宿まで戻る。TVを見ていると、KDDのCMが日本語そのままでやっていた。あれ?これは衛生放送か?でも、衛星放送にCMがあるはずない。日本の文化開放で、経済状態の悪い韓国は、CMも日本から受け入れたようだ。他にも、何本か日本のCMを見た。所々で、IMF時代にどうのこうのという垂れ幕をたくさん見ていたので、やはり韓国は大変なのだろう。


| 戻る |

【目次】
出発
釜山
慶州
移動日
江陵
帰国