'98冬 冬の韓国・食と鉄道の旅 その03 - 慶州

12月28日(月)
釜山9:18 Mugunghwa322 11:17慶州
慶州(仏国寺, 石窟庵, 中文観光団地)
韓進旅館

バスだと列車よりも便利で時間がかからないが、もちろん列車で行く。列車で行くとなると選択の余地無く、相変わらずこの9時のムグンファになってしまうのだ。コンビニで韓国風海苔巻きキムパップを購入し、列車の中で朝食とする。日本でおにぎりがどこでも売っているように、キムパップはどこでも売っている。酢飯でなく具が硬いので、日本の海苔巻きとは違った感じを受ける。

ムグンファ

ムグンファはトンイルに比べれば振動も少ないし、椅子もリクライニングシートで快適である。まずまずの混雑率のまま、2時間で慶州(キョンジュ)に到着した。駅を降りるとタクシーの客引きが寄ってくる。前回は手荷物程度だったが、今回は大きな荷物を持っていたから、明らかに旅行者とばれてしまったのだろう。しかし、全く相手にせず今日の宿へと向かう。

といっても、もちろん予約をしているわけではない。名物親父がいるといわれて勧められた、バスターミナルに近い韓進(ハンジン)旅館である。旅館の親父は、韓国語、日本語、英語を使いこなし、妙に命令口調がまた面白い。話によると、世界的に有名な親父らしく、バックパッカーをやっている人なら、誰もが知っているらしい。部屋は問題なく空いていて、荷物を置くと出発する。

まずはバスターミナル近くの食堂で昼食とする。メニューを眺めてみるが、ろくな物がない。悩んだあげく、レンミョン(冷麺)を頼んでみるが、またしてもメニューにあるがやってないとのこと。仕方なしのビビンパプ。困ったときの頼みの綱である。食べ終わると観光開始で、路線バスに乗って仏国寺(プルググサ)へ向かう。バスの料金がわからなかったが、とりあえず釜山の料金と同じ500won(50円)で乗車した。

相変わらず激しいバスの運転で30分、仏国寺に到着した。世界文化遺産にも指定された、慶州で一番有名な寺である。日本で言えば、奈良の法隆寺のようなものだろうか。オルンハンジャン(大人1枚)と言って、拝観券を購入した。ハングルも一言だけなら、苦もなく言えるようになってきた。拝観料3,000won(300円)で、2年前の歩き方に書いてある値段から、倍近い値上げになっていた。

中に入ると、どこにこんなに外国人がいたのだろうかと思うくらい、すごい数の外国人だ。自分も韓国人からすれば外国人ではあるが、黙っていれば韓国人に見てもらえるし、他に日本人がいてもわからないが、欧米人はやはり目立つ。さらに、次から次から新婚さんらしきカップルとカメラマンが現れる。あちらこちらでポーズを取っては写真に収まっている。ここ韓国では、未だに記念撮影が平然と行われているのだ。

カップルは新婚さんばかりではない。韓国の人はカップルが多く、次から次からシャッターを押してくれと頼まれる。かけ声がわからず、「日本ではチーズだが、韓国ではキムチッと言う」なんて、大まじめに書いてある本があったが、そんなはずはない。家族連れが写真を撮っているかけ声によると、ハナ、トゥル、セッ(ひとつ、ふたつ、みっつ)と言うのがいいらしい。それにならい、同様になんとか写真を撮っていた。

仏国寺

ここの写真を撮るとなると、やはりどのガイドブックにも載っているアングルに収まった。やはり、これが一番見応えがある。秋の紅葉のシーズンなら、さらにすばらしい写真となることだろう。一通りまわって、バスを降りたところへ戻ってくると、石窟庵(ソックラム)行きのバスが丁度発車するところで、あわててバスの運ちゃんから乗車券を買い求め、バスに乗車した。

バスは決まった時間に出発していないようで、1時間に1〜2本の運行の観光バスで往復3,000won(300円)。20分くらい山を登って、山の上の駐車場に到着した。出発時間など聞かずとも、最終バスまで時間はあるし、帰りのバスが無くなることもないだろうと思っていたが、おばちゃんがハナシガンうんちゃらとバスの運ちゃんと話していたので、1時間後にバスがあるのだなと、とりあえず勝手に思った。

石窟庵

石窟庵は本当に山奥に存在し、偶然に見つけられた石の釈迦如来像があるところ。仏国寺から1時間半のハイキングコースもあるが、バスで登ってきた高低差を考えると、かなりしんどそうだ。空間の芸術品といわれる石窟庵本尊は、駐車場から徒歩15分ほど。しかし、現在は本尊内の撮影は禁止の上、ガラスで仕切られ、空間を楽しむこともできなくなっていた。かなり残念。

30分ほどで戻ってきたが、バスはいつくるのかわからない。車の屋台がたくさんあるので冷やかして回る中、おでんの屋台は好評だった。韓国人は勝手に好きなのを取っては食べ、後でお金を払っている。だいたい、一本1,000won(100円)くらいで高めだがかなり売れていた。30分くらいたつと人もぼちぼち集まってきて、程なくしてバスが到着した。行きにもらった半券を手渡してバスに乗り、仏国寺に戻ってきた。

まだ時間はありそうだし、中文観光団地というところへ行ってみる。ここには、世界一大きな水車があり、日本人のパック旅行などで利用されるホテルがずらりと並んでいる。乗ったバスはお釣りが出るバスだったので(お札を入れると運転手がボタンを押してお釣りを出す原始的な物)、1,000won札を入れると、お釣りは400won(40円)だった。行きのバスは500won(50円)で乗ってしまったが、実は600won(60円)だった。

このバスで隣に座っていたおじいさんに何か話しかけられる。今回の旅では何度目だろうか。しかし、もちろん韓国語を話せるわけもなく、チョヌンハングククモルラヨなどと、韓国語を話せませんと言ったりしていたが、後で考えてみると十分韓国語をしゃべっているわけだから、チョヌンイルボンサラミムニダ(私は日本人です)と言っておいた方が良かったのかもしれない。

水車

外の風景を眺めつつ、次のバス停だろうと目星をつけて降りるボタンを押すと、見事水車の前で降りることができた。確かに世界一というだけあって、水車は大きい。水車を眺めた後人工池の方に行ってみるが、たんなる平日でしかない今日は、たくさんある食堂はどれも閑古鳥が鳴く状態だった。人とすれ違えば、ほとんど日本人のようだった。さすが日本人がツアーで利用するエリアだけはある。

ぶらぶら散歩をしてからバスを待つが、待てど暮らせどバスがこない。タクシーを相乗りで行ってしまう人たちもいたくらい。結局30分くらい待った。荒い運転の中、椅子に座れず大変だったがバスターミナルに戻ってきた。一度宿へ戻って一息ついてから、参鶏湯(サムゲタン)を食べに行く。宿に近くに参鶏湯専門店があるという話を、聞いてもいないのに宿の親父が教えてくれたので、行ってみることにした次第。

参鶏湯とは、頭を落としただけの鶏の腹の中に、いろいろな具を詰めて煮込んだ物。何かといえばお粥であるが、鶏が丸々入っているだけに、全てのうまみが凝縮されている。それだけに値段も7,000won(700円)と、食堂で定食を食べることに比べれば倍近い。塩を適度に振りかけて、大きな鍋から取り皿にとって食べる。骨も全て入っているので、食べるときは、かにを食べているように、黙々と食べてしまう。

おなか一杯になって宿へ戻ると、まだ時間は早かったので、YHさながらのミーティングルームへ行ってみる。英語の勉強をして行きなさい、と宿の親父に勧められた場所であるが、日本人が一人だけしかいなかった。昨日は国際色豊かだったよとは、連泊している方の弁。ビールよりも安いマッコルリ(どぶろく)を飲みつつ、夜がふけていくのだった。


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出発
釜山
慶州
移動日
江陵
帰国