'04夏 中国への旅 その05 - 万里の長城

8月5日(木)
万里の長城(居庸関長城, 八建嶺長城)
明十三陵
京倫飯店

今日はついに万里の長城へ向かう。英語ではGreat Wallと呼ばれ、唯一人工衛星から見ることができる世界最大の建造物である、もちろん世界遺産に指定されている。その全長は5,000kmにも及び、日本を一周できるほどの長大なものである。現在では観光客用に所々で修復が行われており、徒歩やロープウェイなどで登ることができる。

朝6時に起きて、7時前には出発する。このホテルには、驚くべきことに朝食が付いていない。仕方がないから外で食べようにもこの時間では開いていないし、北京ではコンビニもまず見つからない。駅の横にあるマクドナルドは、7時からの営業ということで、残念ながらまだ時間が早い。待っていても仕方がないので、地下鉄を乗り継いで前門へ向かう。

さすがに観光客が集まるこの界隈は朝からおみやげ屋が開いているが、おみやげ屋であるからパンのような食べ物は置いていない。たまたま売っていた4.5元(60円)もする一口スポンジケーキを買って朝食にした。万里の長城へ行くには、この前門のすぐ近くから出発する観光バスに乗車する。日本でいうはとバスのようなツアーで、各方面に出発している。

もちろん中国語のみのツアーであるが、日本語や英語のツアーが500元(7,000円)するところにあって、このツアーは50元(700円)である。言葉が通じないだけで10倍も料金を払ってはいられないので、この中国語ツアーにした。ちなみに日本語ツアーの料金は、タクシーを一日貸し切れる料金でもある。言葉が通じるだけでどれだけ高額なのかがよくわかる。

万里の長城は中国人にとっても人気のツアーコースで、万里の長城と明十三陵を巡って帰ってくる一日コースがもっともポピュラー。7時少し前に到着したときには、もうバスに乗りきれない人がいる状態だったが、バスが出発して行くと、すぐに次のバスが到着し、15分もすればバスは一杯になった。平日だと言うのに、これだけのツアー参加者がいるとは驚きである。

高速道路を走ること1時間。インターを降りた目の前に万里の長城が姿を現した。あぁ、これがかの有名な万里の長城か。ガイドのお姉さんに何時に戻ってくればいいのか確認すると、なにか書くものを出せとジェスチャーで示し、バスの番号と集合時間を書いてくれた。今までの中で一番英語がわかっていそうな人だったが、言葉では難しいか。1時間半時間があるとのこと。

居庸関長城

入場料40元(560円)を払い、長城を登っていくが、とにかくすごい急坂である。直射日光も激しく、休みながらでないと登っていけない。座って休んでいると、手すり代わりにつかまってくるおばちゃんには驚かされた。さらに、相変わらず日傘の利用率が多く、渋滞しながら登っているのに日傘なんか使うんじゃない!と思う。歩き方によると、八建嶺長城は女坂と男坂があるらしい。日本人がそう呼ぶだけで、現地でどう呼ぶのか書いていない。右だとか左だとかガイドブックにあるまじき書き方をしていて情けない。しかし、どうにも情報があっていない気がする。ロープウェイなどないし、右も左もなく、皆同じところを登っている。

かなり上まで登っていけば、向かい側の山の頂に造られた長城が見えるのであるが、どうにもイメージ通りではない。今までの疲労がたまり、足のまめをつぶしながら登ったわりには、ぱっとしなかった。地上に降りてきて、飲み物を買い求めると、なんと普通なら水とジュース2本で5元(70円)くらいのところ、10元札を出したらお釣りをくれなかった。びっくりするほどの観光地価格だった。

出口は入り口と反対側で、バスまでたどりつけるのだろうかと思ったら、バスも移動していた。中国人は時間を守らないと思っていたがさにあらず。5分前に着いたのに、全員そろっていた。あまりにも急坂なので、ほとんどの人は上まで登っていかなかったのかもしれない。なんとなく消化不良気味で長城を後にした。バスで走っている中でも他の長城を見ることができ、しかも人が登っていたりもする。

そうこうしていると、30分ほど走ったあとバスは停車した。またしても1時間半の停車である。お昼には早いが、ツアーの関係上昼食タイムかと思いきや、さっきのところとはあきらかに違う活気があり、おみやげ屋が軒を連ねる。そして、長城がそびえ立つ。どうやら二カ所目の万里の長城に連れてこられたらしいが、もう疲れて登る気力はない。

しかし、驚くべきことに、八建嶺長城とある。ここが皆が訪れる有名なところで、先ほど行ったところは居庸関長城という万里の長城だった。確かに、入り口を入ると右と左に万里の長城が山を登っていっている。それなら、ロープウェイがあるはずと思ったが、みつからない。毎度のごとくの歩き方で、地図がない。自分で歩いてみたのかよとまたしても言いたくなる。

八建嶺長城

結局いろいろさまよったあげく、60元(850円)の入場料を払って左側のたぶん男坂へ。日本人がそう呼んでも、地元でどう呼ばれているのか書いていないと、ガイドブックとして意味がない。カメラ屋でデジカメの電池がもしかしたら合うものがないかと聞いてみたが、普通のリチウムしかなく、逆に写るんですを買えと言われた。それならすでにカメラを買っている。ちなみに、写るんですはコダック製品ばかり。

先ほどの長城に比べれば急坂といわれる男坂でも大したことはない。4つ目の城郭まで登れば、山の上をうねる長城を見ることができると書かれていたが、大したことなくてやっぱり歩き方には騙された。しかし、ここには登頂記念の証明書を売っており、30元(420円)もするのに飛ぶように売れていた。名前と日付を自分で書いて、ラミネート加工してくれる。

登頂記念

外国人たちは、自分の名前を漢字で書いてくれと中国人に頼みまくっていた。アルファベットしか使わない国の人にとっては、漢字はおもしろいものなのだろう。最近の日本人も漢字に興味があるようで、自国語を外国人と同じ感覚になっているのはゆゆしき事態であるともいえるのだが。着いたとたんに折り返すという状態だったが、イメージ通りの万里の長城を満喫できた。

10分前にはバスに戻ってきたが、さすがにあまり人は集まっていなかった。昼食を食べる時間も無くなり、朝買ったケーキの残りで昼食とする。これで今度こそ万里の長城は終わりだろう。もう一つ目的地として、明十三陵がある。明の時代の皇帝の墓群であるが、地下宮殿など世界遺産に指定されている。1時間半くらいバスは走ったのであるが、なぜか裏道を走っていく。

高速を使わなければガイドしてやるみたいなことをたぶん言ったのだろう、乗客はまんまとそちらを選び、高速料金をピンハネしたらしい。今まで何も説明をしていなかったガイドのお姉さんが、勢いよくしゃべりだした。さすが、公共性もなにもあったものではない。そして、バスは変なところに停まり、翡翠の加工工場を見学させられた。まぁ、これくらいのおみやげ屋巡りならゆるす。

明十三陵・定陵

またしても1時間半の休憩である、少し歩いたところに地下宮殿への入り口があった。またしても入場料60元(840円)。外国人料金が適用されないだけましだが、高額紙幣がびっくりする早さで無くなっていく。昨日両替しておいて良かった。昨日の故宮同様、そろそろ飽きてきたのであるが、ぶらぶら定陵内を散策し、地下宮殿を見学して戻ってきた。万里の長城ほど時間がかからないので、30分くらい余ってしまった。今はちょうどシーズンなのだろうか、おばちゃんがずらりと並んで桃を売っている。どうやって食べて良いかわからないところであるが、かぶりついて食べている人がいたので、それなら買ってみることにした。

こういうところで食べ物を買うのは、明日のトイレ直行を気にしなければいけないのであるが、明日で終わりだから問題ないだろう。桃一個がなんと2元(28円)で、拍子抜けするほど安かった。ちょっと堅めでりんごみたいだったが、おいしく食べられた。これにてバスツアーは終了となり、途中でガイドのお姉さんを降ろしてしまった。最後までつきあわず、途中で自宅へ帰ったようだ。さすが中国人といったところか。

1時間半くらいで朝出発したところに戻り、約9時間のツアーは終了した。言葉がまったくわからなかったが、この料金の安さなら満足できる。ホテルへ戻る前に、昼食だか夕食だかわからないが、腹ごしらえとしてホテルのすぐそばにあるラーメンのチェーン店に行く。うまいことはうまいのであるが、やはりラーメンは日本の方がうまい。結局今回の旅では、アジアならではの楽しみ、安くてうまい食事を食べられなかった。


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【目次】
出発
上海
上海
北京
万里の長城
北京