'04夏 中国への旅 その02 - 上海

8月2日(月)
上海(磁気浮上鉄道, 東方明珠塔, 外灘, 豫園, 南京東路)
金門大酒店

朝食は7Fと言われたのだが日本人階で、実際にはその上の8階だった。高級ホテルで数字ごときを間違えるとは。このホテルは日本人御用達のようで、7時からの朝食時間にかなりの日本人が陣取っていた。朝食は普通の洋食に、中国式の朝食も用意され、お粥や小龍包、餃子などがあった。餃子はスープに入っており、これまた美味。朝から中華料理で満足だったが、炒め物はやはり油が濃い。

8時には出発するが、外に出たとたん湿気のすごさにカメラは一瞬にして曇ってしまった。鹿児島と緯度は同じはずなのに、赤道直下のシンガポールのようだ。まずはホテルの目の前にある地下鉄の駅から上海駅へ向かい、明日の夜行列車の切符を購入する。この時間はラッシュで混んでいるのかと思ったが、一日中地下鉄は混んでいた。昨日が祝日だったので、今日は振り替え休日かもしれない。

上海駅

上海駅の窓口は、たくさんあるがよくわからない。漢字が出るのでだいたい推測できるが、どの窓口も今日の列車の切符だけらしい。一旦外に出て駅周辺を散策していると、軟席切符売り場があった。軟席切符売り場はVIP待遇になっていて、冷房の利いた涼しい部屋で切符を購入できる。軟席というだけで扱いがかなり上らしい。なお、待合室も別に用意されている。

中国の列車の座席の種類は、硬席(クッションなし席)、軟席(普通の座席)、硬臥(クッションなしの三段寝台)、軟臥(普通の二段の寝台車)、となっていて、硬と軟の料金差は倍近い。二段寝台の下段が一番高価な席で、上海から北京まで約1,000kmで499元(7,000円)。日本では東京から博多くらいの距離で、日本の寝台料金の半分くらいだろうか。中国の物価を考えると、かなり高額である。

次に地下鉄1号線から2号線へ乗り継ぎ、龍陽路駅へ。駅を出ると目の前に高架の駅がそびえていた。これは世界初の実用リニアモーターカーで、ここから上海浦東空港まで結んでいる。8:30〜17:30という完全になめきった運行時間で、昨日は乗りそびれてしまったのだ。当日の飛行機のチケットを持っていれば2割引になるが、往復割引でも同じく2割引。それでも往復で80元(1,120円)とかなりの高額である。

磁気浮上鉄道

中国人の家族連れも数多く見られ、どうやらこの運行時間からして、移動手段というよりはジェットコースターのようなエンターテイメントとして利用されいるようだ。ホームに上がるとちょうど列車が出ていくところだったので、次の列車まで20分待たされた。もちろんレールは無く、一見コンクリートの上に車両が載っているだけに見える。鉄道よりも幅が広いのか、車内は6列シートだった。

出発すればすごい速さでスピードが上がり、あっという間に最高速度430km/hへ。もちろん地上を走る乗り物としては世界最高速度である。周りに何もないのであまり高速感を感じないが、車を追い抜く速度はとてつもなく速い。そして1分強くらいで減速に入る。運行時間8分では、その前後3分ずつぐらいが加減速に使われてしまうので、最高速度を楽しめる時間は短い。

そして、昨日の空港に戻ってきた。昨日はバスで1時間近くもかかった距離を、たった8分で走りきった。そして2分で乗客を入れ替えると、列車は折り返していった。2編成が交互に運転していて、単線なので20分間隔以下にはできないようだ。空港には足を踏み入れただけで、すぐさま折り返した。ちょっとしたジェットコースター気分で、80元(1,120円)はかなり高い。

また地下鉄を乗り継いで上海体育館へ。ここから観光バスに乗って、水郷の村として有名な周荘を目指そうと思ったのであるが、地下鉄の駅からそのバスターミナルまでが非常に遠い。しかも歩き方は不親切きわまりない。実際に歩いてみて書いてないだろうという地図を片手にぐるぐる迷い続け、バスターミナルに着いたときには、目的のバスは出たばかりだった。

毎度思うことであるが、ますます歩き方は使い物にならなくなった。地球の騙され方と言われた時代には、必要な情報は一通りそろった上で、読者情報として怪しげな情報が載っていたのであるが、今や一人で歩くための情報は皆無で、情報自体が偏っている。その代わりに高級レストランやホテル、エステにショッピングだ。これならしっかり編集チェックをしている、るるぶやマップルの方が使い勝手が断然良い。

次のバスは14:00で、1時間半後とのことだった。周荘で1時間の滞在で戻ってこれそうだったが、受付のお姉さんは帰るのは明日だという。仕方がないので、明日出直すことにして、今日は上海観光とした。なぜか上海体育館の一階にスーパーがあったので、少し買い物をするが、端数の小銭を出せ!と、中国娘に中国語でまくしたてられた。それが客に向かう姿勢か〜と思ったが、こんなところも中国人らしい。

中国人らしいと言えば、間が近すぎる。間というのは物理的な人と人の間で、人が多いせいもあるのだが、地下鉄に乗っていても歩いていても、とにかくぶつかってくるし、少しくらいふれるのは当たり前。客引きがべたべたさわってくるのは日常茶飯事で、暑苦しいのに触るんじゃねぇ〜と叫びたくなる。しかし、ベトナムの喧噪から比べれば、まだまだ楽なものであるが。

地下鉄の駅へ戻るのにも迷ってしまい、広大な体育館の回りを一周半もしてしまった。このとき、早くも14時を過ぎていた。今日一日何をやっているのだろうか。お昼を食べようにも何もなく、自動販売機でジュースを買おうと思ったら動いていなくて、ジュース一本分3元(42円)を食われてしまった。まさに踏んだり蹴ったり。自動販売機があること自体は、治安が良い証拠ではあるのだが。

東方明珠塔

地下鉄で行ったり来たりを繰り返し、今日は無駄な移動時間ばかりになってしまった。15時近くになって、やっと観光が開始できるといった感じだ。今度は上海の目的地として皆が向かうであろう東方明珠塔と呼ばれるテレビ塔へ向かう。地下鉄の駅を出れば目の前にそびえており、その奇抜なデザインと相まってびっくりする。入場料は、展望台の高さによって料金が異なっている。当然一番上を目指すが、窓口の人にhighestと言うと、日本語で一番上と返ってきた。基本的には日本人なら最上階を目指すと思うので、特に問題はないだろうが、テレビ塔の置物があるので、そこを指させば中国語が通じなくても問題ない。

上から2番目の玉まで行くのが50元(700円)、さらに一番上の玉まで行くとプラス50元(700円)で、あわせて100元(1,400円)というびっくりする料金だが、多くの中国人も訪れていた。ゴミ箱のペットボトル拾いをしているおじさんがいるなかで、この料金とは、かなり貧富の差が激しいようだ。ちなみに、100元札と言えば日本の物価からすると4倍の五千円札くらいの感覚で、ラーメンなら10杯食べられる。

まずは263mの二球まで一気にエレベータで上がっていく。朝もやを未だに引きずって、浦東方面はよく見えているが、上海の中心街方面の展望はよくない。翌日も同じような感じだったので、夏はあまり良くないようだ。さらにエレベータを乗り換えて350mの三球へ。すると二球よりもさらにかすんでいて、景色を楽しむどころではない。二周くらい回っただけで、エレベータで二球へ戻る。

そういえば、トロントのタワーは足がすくむほどの高さだったが、ここはそこまでのすごさは感じられなかった。二球に降りたら階段で一階だけ降りる。ここは外に出られるエリアがあったが、階段の目の前にエレベータを待つ人の列があり、それにいきなり加わってしまったので、半券をもぎられた後となってはぶらぶらすることもできなかった。そして、エレベータで90mの一球へ。

ほとんど高さを感じないところまで降りてきて、かすんではいないが展望がいまいち。ここでもぐるっと一巡りだけしてエレベータで一階まで降りてきた。今日は一日歩き通しで、そろそろ疲れてきたことだし、冷房が利いて涼しいので、これからの行程をのんびり考える。すでに16時に近い時間になっているが、外灘(バンド)からこのテレビ塔を眺め、豫園にぎりぎり入場できるくらいだろうか。

浦東新区

対岸まで渡し船があるはずだが、かなり遠いので地下鉄で川を渡ることにした。バンドからかなり離れた南京東路の中心の駅を降り、10分くらい歩いてバンドまで戻ってきた。黄浦江の向こう側には浦東地区の高層ビルが建ち並び、上海といえばまさにここという風景が広がっていた。高層ビル群の反対側は、租界時代のアールデコ調の建物が並ぶ通りで、バンドのどちらを見ても楽しめる。

ここの写真を見て中国のイメージががらりと変わってしまったのであるが、まさに実際に来てみても、中国のイメージとは大きく異なっていた。香港と同じようであるが、そこまでごみごみしていないし、シンガポールほどきれいではないが、日本人女性が出歩いても大丈夫だろう。また、日本から企業が多数乗り入れ、日本人と同じ化粧をして、中国人らしい人は皆無だった。

外灘

バンドから歩いて豫園地区へ向かう。まだ近くに地下鉄の駅がないので、バンドから20分くらい歩けばたどり着ける。中国式庭園があるのだが、その周辺はすっかりお買い物エリアである。明の時代にあわせた赤い建物がいたるところで見受けられ、一大テーマパークの様相を見せている。豫園の入場時間は過ぎてしまったので、その中は見ることはできなかったが、お土産屋などを見て回った。

そんな中に、上海で一番有名な小龍包屋である南翔饅頭店という店がある。ぶらぶら散策しながらその店の前を何度か通ったのだが、いつでも長蛇の列になっている。意を決して並んでみるものの、1時間たってもほとんど動かない。生産量がきわめて悪く、しかも珍しく中国人が並んでいると思ったら、一人で何十皿と買っていく。相変わらず、他人に悪いという意識がない。

夜景

歩き方ではなくマップルによると、六本木ヒルズでもこの小龍包は食べられるようである。そう書かれていると並んでいることがばからしくなり、近くの中華料理のカフェテリアで夕食にした。中国ではよく見かける方式である。炒飯と脂っこそうな炒め物で12元(170円)。庶民の料理の値段はこれくらいが相場であるが、炒飯は味がないし、炒め物は脂っこいし、本場の中華料理もこんなものかと思った。

20時近くになって、あたりはすっかり暗くなっていたが、未だに列は続いていた。並んでいたら、まだ食べられていなかった。どうやら2時間待ちを覚悟しなければいけないようだ。夜景を眺めるためバンドに戻るが、夏の電力不足を補うため、ライトアップが減らされていた。最後にネオンがきらめく繁華街の南京東路を歩き通し、ホテルへ戻った。


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出発
上海
上海
北京
万里の長城
北京