'11夏 韓国スパの旅 その03 - 板門店

8月9日(火)
【板門店ツアー】 (8:00〜17:00)
大祐旅館

今日は一日板門店のツアーに参加する。出発が8時で7時半にはロッテホテルに集合ということなので、せっかく宿は朝食付きになっていたのに食べられない。昨日コンビニで買っていたおにぎりを食べて朝食とする。韓国のりの海苔は良いが、具がチャンジャとか変なものしかないのが韓国おにぎりの特徴でもある。ロッテホテルまでは徒歩10分といったところなので、すぐにたどり着けたが、6Fのツアーデスクまでたどり着くのに迷ってしまった。

臨津閣公園

午前中が第三トンネルを中心としたDMZツアーで、午後が板門店のツアーとなっており、半日ずつでも参加ができる。バスの前半分が日本語ツアーで、後ろ半分が途中で乗車してきた英語ツアーだった。日本人でも英語ツアーにしていた人がいたが、同じ料金なのだからわざわざ英語を選ぶ必要はないと思うのだが。日本語ガイドと英語ガイドが交互に説明しながら、バスはDMZ直前の臨津閣公園へ。

SL

一般人が自由に来られる北朝鮮に一番近い地点であり、北朝鮮に家族を残された人たちがここにきて、家族のことを思う場所でもある。戦争時にDMZに放置されたSLが展示され、建物の屋上からは自由の橋が見える。この自由の橋は、昔は板門店に向かう唯一の道路だったが、新しい統一大橋が出来た今、鉄道橋に戻され、DMZ内の駅まで観光列車が走っている。

慌ただしく見て回るだけで時間は過ぎ、検問所を通ってDMZに入る。パスポートチェックが必要だが、人数と名簿を確認しただけで全ての人のチェックをすることはなかった。DMZとは非武装地帯 DeMilitarized Zoneの略で、軍事行為を禁止する緩衝地帯となっていて、写真撮影はかなり制限される。そんな中に、北朝鮮が韓国に向かって掘ってきたトンネルが現在4つ見つかっており、ソウルに一番近いトンネルが第3トンネルである。

第3トンネル

DMZを説明する施設が併設し、地下に向かって観光用のトロッコが走っている。最近では観光客の増加に追いつかず、歩いて入るルートもできている。ツアーによってどちらになるか書いてあるので、申込時に確認しておきたい。トロッコは頭がぶつかりそうなかなり狭いトンネルを10分くらいかけて降りていく。

トンネル自体は中腰で歩かないと行けないくらいの高さ150cmくらいの穴だが、専門家に言わせれば、かなり大規模なトンネルだそうだ。トンネルに入るには必ずヘルメットをかぶるが、そのヘルメットがごつごつ当たる。そして、500mくらい黙々と歩いていくと、現在ではコンクリートにふさがれたトンネルの終点にたどり着く。ただこれだけなので、なんともたいした事ないが、こうして実際に見せることが韓国にとっては重要なのだろう。

第3トンネル

地上に戻ってくると、資料館を見学し、映像館でDMZとトンネルの説明を見る。日本人が多いので、日本語版の映像に音声ガイド器で英語を聞けるようにしていた。

トラ展望台

次に向かうのは、トラ展望台。都羅山の上にある展望台で、北朝鮮がよく見えるポイントであるが、写真が取れるポイントは制限されているので、北朝鮮を写真に撮ることはできない。望遠鏡を覗いて森の中を良く探すと、国境線がかすかにわかる。午前中だけのツアーの人は、ここでお土産を買うのが良いが、午後もある人は板門店で買うとよいとのことだった。

都羅山駅

午前中最後のポイントは、都羅山駅である。太陽政策の一環で、ソウルと平壌の線路がつながった際に作られた駅で、DMZ内にあるためパスポート無しでは訪問できない。臨津閣駅から一日数本の観光列車が走るだけの駅になっていて、兵士が警備しているが、観光客と写真撮影したり、重々しい雰囲気はなく、和やかな感じの施設である。

都羅山駅

入場券を払うと、ホームに入ることができる。駅名板には隣の駅がソウルと平壌になっていて、韓国と北朝鮮をつなぐ希望の駅でもあったはずだが、今では推して知るべし。豪華な駅だけがむなしく残っている。空港にあるような荷物検査場も何で作ったのか分からない。ちなみに、駅の落成時には、当時のアメリカブッシュ大統領も訪れている。

プルコギ

DMZを一度出て、近くの食堂で昼食である。ツアーには昼食のプルコギがセットになっていて、プルコギが嫌な人はビビンバでも頼めるようだ。この近くには食堂がないのか、いろいろなツアー客が入っていて、料理自体もあまり良くはなかった。まぁ、付いている食事だから仕方が無い。ここでバスの入れ替えとなり、板門店に向かう人は、板門店午後半日コースのバスに乗り込む。

バスはまたしても臨津閣公園へ向かう。午後だけのツアーの人には初めてだが、午前から参加している人は何も変わらずの二度目の訪問である。午後のコースの人たちには、食事の前に訪問しておいてもらいたいところだが、板門店だけでは時間が余るので、時間調整もあるのだろう。

午前中と同じ時間休憩時間を取ると、いよいよ板門店に向かって行く。この後、何度も写真撮影の注意を受ける。ただ写真が没収されるという次元ではなく、それが元で戦争になってしまうこともあるのだ。服装についても厳しい。かかとのないサンダルはダメだし、半ズボンなどもダメ。雨が降っても傘は持っていけない等々。ちょっとのことでツアーがキャンセルされてしまうこともあるので、注意事項は絶対に守らなければならない。

今回のパスポートチェックはしっかり行われ、バスは軍事施設のど真ん中を走っていく。この辺りは完全に写真撮影禁止場所で、大砲が狙っていたり、実弾練習をしていたりとなかなか緊張感が高まってくる。高麗人参を作っているという森の中を一時間ほど走っていくと、韓国と北朝鮮の国旗がちらちら見えてくる。単に旗を掲揚するだけの建物で、韓国の国旗掲揚台も巨大だが、北朝鮮はさらにその上をいっている。国旗掲揚台としては、世界最大と言うが、そんな物作るのは世界広しといえどもあまりないだろう。

板門店共同警備区域(JSA)に到着すると、バスを降りてまずはブリーフィング(板門店の説明)を受ける。ここからは、ツアーガイドも国連のお客様ということになり、警備を行う兵士の言うことに従わなければならない。そして、命を落としても文句を言わないという書面にサインをさせられる。

20分くらいのビデオの後、国連のバスに乗り換えて、いよいよ軍事停戦会議本会議場へ。自由の家を通り抜けるとよく見る青い屋根の建物が見える。その建物の向こう側には北朝鮮の建物が見え、兵士が双眼鏡でこちらを観察しているのが分かる。

軍事停戦会議本会議場

日本語組は先に本会議場の中を見学する組で、英語組は自由の家で待つ位置まで指定されている。建物に入ると、マネキンのように動かない兵士が二人立っており、中央にマイクが一列に並んだテーブルがあった。このマイクの位置が韓国と北朝鮮の境界である。この建物内は撮影自由と言うことで、兵士と一緒に写真を撮ることも出来た。

軍事停戦会議本会議場

自由の家に戻ってくると、英語組が本会議場へ。その間日本語組は、居場所を決められたが、写真は撮って良いそうだ。しばらくの間は写真撮影会となったが、あちらこちらで兵士が目を光らせているので、変な動きはできない。英語組が戻ってくると、バスに乗車して帰らざる橋などを見てブリーフィングを受けたところに戻ってくる。最後にお土産購入時間を取る。売店では、北朝鮮グッズも売っていた。

元のバスに乗り込み、これにてツアーは終了である。二カ所で写真撮影会をしたのだが、一枚は合成して本会議場前の写真ができあがっていた。こんな短時間になんという早業。三枚の写真と板門店のガイド付きのアルバムが、円高もあって2万won(1,400円)で微妙な値段設定だった。これくらいならお土産としてもそこそこよくて、飛ぶように売れていた。

軍事停戦会議本会議場

ソウルには予定通り、17時過ぎに到着した。解散地もロッテホテルの前だったので、明洞まで歩いて行って焼き肉の夕食とする。またしてもるるぶに乗っている店だったので、客は全員日本人のようだった。相変わらずキムチはおいしくなかったが、骨付きカルビはまずまずおいしく食べられた。

軍事停戦会議本会議場

最後に、ソウルタワーに登って夜景を見る。昔はロープウェイ乗り場まで坂道を登っていったものだが、ケーブルカーのような無料エレベータがあり、アクセスが便利になっていた。夜になると入場料が安くなっていて、平日だというのに周りはカップルだらけ。どうやら、翌日の状況を見ても、韓国も夏休みに入ったようだ。


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【目次】
出発準備編
ソウル
板門店
釜山
帰国