'01冬 台湾への旅 その02 - 森林鉄道

1月4日(木)
台北7:00 自強1003 10:24嘉義
嘉義(北回帰線の碑)
嘉義13:30 森林鉄道 17:12沼平
高峯大飯店

今日の朝は早い。今日だけでなく、これから毎日早い。と言うのも、今日は台湾屈指の観光地、昔は新婚旅行のメッカでもあった阿里山へ向かう。ここへ行くために、一日に一本しか走っていない森林鉄道に乗る予定をたてていた。問題はないと思うが、出発直前すぎだと切符が取れない恐れがあるので、早めに行くことにしたのだ。

台湾の西側は大幹線となっており、高速列車の自強号も頻繁に走っている。2005年には、高雄まで日本の新幹線が建築される予定になっている。線路の幅が日本と同じ狭軌のため、日本の特急とほとんど同じ雰囲気で、速度も100km/hそこそこ。台湾には駅弁があるということで探したのであるが、残念ながら見つからず。コンビニのおにぎりで朝食としたが、日本と変わらずおにぎりが売っていることに驚く。

自強号

列車は出発してしばらく地下を走っていく。二年前の地球の歩き方では、隣の駅から地上に出るように書かれていたが、実際にはずっと地下のままだった。市街地は国鉄線もすべて地下に埋める工事が進んでいるようだ。沿線は日本にもあるような駅名ばかりだし、風景はまさに日本の田園風景、車両も日本並のサイズとくれば、日本を旅しているようである。自強号では車内販売も行われていた。

3時間半ほどかかって、森林鉄道の乗換駅の嘉義に到着した。ここまで600元(2,100円)で、やはりアジアの公共機関は安い。いつものごとく記念に切符を頂くが、北京語でこれをください(まさに英語と語順が同じで、Give me itを中国語読みしたような物)と言ってみても通じず、紙に書いた漢字を見せて納得してもらった。やはり、中国語は発音が非常に難しいが、筆談なら意志疎通が図れる。

駅を降りるとすぐに、森林鉄道の切符を購入する。国鉄の窓口の一つで森林鉄道の切符を販売しており、無事購入できた。3時間半の乗車で399元(1,400円)。難なく購入できて、拍子抜けだったが、真冬でしかも平日ではこんなものかもしれない。3時間も時間があるので、駅から数kmのところにある北回帰線の碑へ向かうことにした。

駅前から1時間に一本バスが出ており、次のバスまで20分ほど時間があった。そのまま待っていようと思ったが、駅前にはすごい数のタクシーが並んでおり、タクシーの運ちゃんがしつこくタクシーに乗って行けと言う。バスがあるのにタクシーに乗るかと思っても、英語が通じる相手でないし、中国語なんか一言も話せない。あまりにもしつこいので、バスの時間まで駅の待合室で待つことにした。

駅の待合室でも、阿里山行きの列車のチケットを売っていたり、ホテルのチケットを売っていたり、どこにいても休まる場所がないのは困ったところだ。バスに乗るときも、相変わらずタクシーの運ちゃんのしつこい攻めが続いたが完全無視。バスは先払いだったので、バスの運ちゃんに行きたいところを見せると、なにやら指で書いていた。たぶん17と書いたのであろう。本に書いてあった17元(60円)で乗車。

北回帰線の碑

バスは数分走ると広い道を走るようになり、左手に展望台のような建物が現れた。ここが目的地なので、近づいたところで下車ボタンを押すと、建物の目の前で停まってくれた。どうやらこの当たりにはバス停がないらしい。そして、その大きな建物の前に、北回帰線の碑が建っていた。一昨年のオーストラリア、ロックハンプトンで訪れた南回帰線の碑に続き、北も制覇できた。

ちなみに、北回帰線は夏至の正午に、太陽が真上に来るところである。北回帰線の碑の写真を撮れば、それ以上には何もない。大きな展望台のような建物も、改装中で中に入れなかった。しかし、そのすぐ目の前を線路が走っており、次々に列車が走り抜けて行くので、しばらくの間列車の写真を撮っていた。さすがにかなり南であるから、日差しも強い。

さて、時間は早くも12時である。バス停はこの近くに無いからかなり歩いて戻らないといけない。駅に向かって歩いていくと、バスがちょうど現れた。手を挙げるとなんと停まってくれるではないか。バスのヒッチハイクみたいだ。駅に向かうことを確認すると、そのまま乗車。次のバス停まではかなり離れていて、炎天下の中歩いていたら大変だった。

駅に戻ってきて昼食とする。嘉義は鶏肉で有名ということであるから、豪勢そうな鶏料理を頼んでみる。それでもたった70元(250円)である。料理を選んでいるときも、英語でなにやら話しかけてくる。店の人かと思ったが、どうもタクシーの運ちゃんのようだった。英語が分からないふりをして、無視し通した。全く困った町である。料理は、さすがに普通の料理の倍近い値段だけあって、鶏肉がどんと載っていた。

森林鉄道

13時半近くになったので、国鉄駅の改札から入り、端にある森林鉄道乗り場へ向かう。4両編成の列車に各車10名程度でがらがらだ。列車はナローゲージの一回り小さい車両で3列シート。大振動と共に、すごく遅い速度で走っていく。二人乗りの原付にも抜かれる始末で、あまりにも遅い。町中をとことこ走っているので、5分で飽きる。

日本と同じく市場原理が働いているところなのに、列車は一日に一往復で各駅には駅員がしっかり待機している。タブレット交換も行われている。いつ廃止になってもおかしくない線という気がした。1時間くらい走り、3回ループ線を越えると、車窓の風景はだんだん山の風景になってきた。高度1,000m程度にはなってきたと思うが、まだ椰子の木などが生い茂り、山の上という気がしない。

車窓風景

列車はまだまだ山を登って行く。相変わらずのんびりした速度である。最大勾配は62パーミル(旧横川-軽井沢程度)というから、まずまず勾配がある。2,000m近くになってくると、さすがに周りの風景は針葉樹ばかりになってきた。日本の山の上の風景と同じである。そして、最後にスイッチバックを繰り返し、4回目のスイッチバックの駅が阿里山駅である。

やっと着いた〜と思い、降りる支度をしていると、列車はまた走り始めた。なんと、まだ登って行き、次の沼平駅にまでつれてこられてしまった。阿里山駅は廃止され、現在はここの駅だけが利用されているらしい。駅を出る時に、阿里山入山料100元(350円)を取られる。羊ヶ丘展望台で、バスを降りるときに入園料も徴収されるかのごとく。

かなり山の上に来てしまった。高度は2,200mで、富士山6合目くらいと同じで気圧は約3/4。列車でつれてこられてしまった約1km分の山を下り、例のごとく宿は取っていないので、日本語ができる親父がいるというホテルへ行く。すると、日本語を話す人は誰もいなかったが、英語を話す人がいてくれた。宿代はやはり高めだ。いや、かなり高い。昨日は一人当たり500元だったが、今日は1,000元(3,600円)とは。

安い部屋はないものかと聞いてみると、窓が無くてよければ800元(2,900円)だとか。どうせ一泊だけだから、窓なんかいらない。夕食が200元(700円)で、とりあえず夕食代を浮かすことができた。ビジネスホテル並の部屋でこんな山奥でこの値段なら、これでも安い方かもしれない。夕食には鍋が出て、韓国のように辛くもなく、中華料理のように脂っこくもなく、台湾には日本人の口に合う料理が多いと思った。


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