'00夏 ミレニアム富士登山 その3 - 御来光

そうして本八合目の山小屋3400mに到達した時には、すでに3時をまわっていた。ゆっくり歩いたせいで、全く疲れていなかったので、休憩も取らずにそのまま進む。すると、「海老名SAを先頭に30kmの渋滞」と言っているかのごとく、SAもとい山小屋をすぎると、渋滞はなくなっていた。

明るくなる空

しかし、ラスト頂上までは標準時間80分、ご来光まで残り時間100分、急いで登れるだけの体力もなく、ご来光までに頂上の到着は無理なように思われた。最後の道のりは岩場の道で、たんたんと登っていくと、前を歩く人が多くなってきた。先ほどの歩けない状態ではないものの、のろのろ運転もとい歩きだ。

そして、4時を過ぎ、空がだんだん明るくなってくると、頂上へ向けて蟻の行列のごとく人が列をなしているのが見える。ご来光を頂上で迎えるのはほぼ不可能となったので、適当な場所で休憩を取るついでに、写真を撮りながら登って行く。そんな休憩を取っている間にも、次々に登ってくる人が増えてくるので、ついにはまたしてもほとんど歩けない状況に。

それでも、九.五合目の鳥居が見えてきた。これとご来光を何とかして同じアングルに納めたい。いつ太陽が上がってくるか微妙な状況であったが、鳥居の少し上まで上がり、カメラを構えたところでご来光となった。

御来光

地平線だけ雲が立ちこめ、その上から登ってくる太陽ではあったが、オレンジに染まる雲、太陽の光の筋が後光のように光る様は素晴らしいの一言である。しかも、雲が立ちこめていたおかげで、すぐに雲の中に隠れた後、もう一度ご来光となった。一日で2度も見られるとは、運がいいというより、こんな状況滅多にない。しばらく、太陽が上がりきるまで景色を眺めていた。

残すところ、あと高度にしてあと150mほど。いよいよ頂上が近くなってきた。しかし、相変わらずというかどんどんひどくなる渋滞に、もはや流されて行くほか無かった。休憩したついでに10分くらい寝てしまったが、ぜんぜん疲れもないし、眠くもない。そうして、大渋滞のまま最後の鳥居をくぐり抜け、6:20に9時間半をかけてやっと頂上に到着した。

各合目で焼いてもらった焼印の最後は、神社内で300円。最後は焼くのではなく、赤いインクを打ち付けた。無料休憩所で持参したおにぎりを食べ、持参したお茶を飲み、一服すると、なんだかむなしさがこみあげる。9時間半もかけて苦労して登った先に、お土産屋はあるし、食事も飲み物もなんでも売っている、携帯電話までつながる。なんら地上と代わり映え無い。今まで登ってきた山はそれこそ、1時間くらいで登れたものばかりで、登山とはいえないものばかりだが、頂上に着いたという達成感はあった。観光地化しすぎるのもよろしくないなと感じずに入られなかった。


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【目次】
出発
登山開始
御来光
お鉢巡り